サムロータリスイッチとは
定義
サムロータリスイッチは、数字が書かれた円板状の部品を回して選択した数値を複数の接点回路のオン/オフ信号の組み合わせで2進数/10進数/16進数などのコードに変換・出力する設定用スイッチです。
特徴
初期値を視覚で確認 | 選択した数値をそのまま表示するので、 常に設定値を視覚で確認でき、誤操作を防ぎやすくします。 |
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設定値を維持 | メカ機構だけでコード変換を行っているので、 通電の有無にかかわらず設定値を維持します。 |
容易にデジタル変換 | コード変換が簡単に行えるため、回路や配線がシンプルになり、 制御系の信頼性や保全性が向上します。 |
サムロータリスイッチは、2進、10進、16進へのコード変換が容易です。
種類
サムロータリスイッチは、搭載される機器・設備の規模に合わせられるように外形サイズを中心に製品ラインアップしています。そして、取り付け方法でねじ締めとワンタッチの2タイプに分けられています。設定値をロックして操作できなくするロック機能を備えたタイプやペン先のような細いものでしか操作できないタイプもあります。
搭載機器や設備に合わせて、まず外形サイズから選びます。
構造
代表的なサムロータリスイッチは、ケース、押ボタン、摺動子、ロータ、シール板、パッキン、プリント基板、取り付け板などの部品から成り立っています。
1 ケース
構成部品を収納します。スイッチ同士をワンタッチで連結するための機構が側面に形成されています。
2 押ボタン
正転(+)と逆転(ー)の押ボタンがあり、数値を設定します。それぞれにクリック感をつくる機構と1回押すたびにロータが1段ずつスムーズに回転する機構を備えています。
3 摺動子
ロータに固定され、回転に伴って先端がプリント基板上を摺動します。基板上に形成された導体パターンと接触することでスイッチ回路をオン/オフする可動接点の役割を担います。基板と接触する先端部分には金合金を採用し、接触信頼性を高めています。
4 ロータ
円板状の部品で、円周面に設定する数値が書かれています。これを回転させて数値を設定します。
5 シール板
透明の樹脂製部品で異物の進入を防ぎます。表示窓のカバーも兼ねます。
6 パッキン
弾性のあるゴム製の部品です。プリント基板とシール板に挟まれて摺動子とプリント基板の接触部分に異物が進入するのを防ぎます。
7 プリント基板
導体パターンに耐食性の高い金めっきを施し、摺動子との間で高い接触信頼性を維持します。回転角度に対応したパターンを形成することで数値コードの変換を行います。
8 取り付け板
スイッチの両側面に取り付けられ、穴にワンタッチで取り付ける機構が形成されています。
製品
プッシュ操作 | ロータリ操作 | |
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A7D 文字高さ3.2mm |
A7DP 文字高さ3.2mm ペンプッシュ操作タイプ |
A7MD 文字高さ2.8mm |
A7CN 文字高さ3.4mm |
A7CN-L 文字高さ3.4mm ロックタイプ |
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A7BS 文字高さ4.8mm |
A7BL 文字高さ4.8mm ロックタイプ |
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A7PS 文字高さ6.8mm |
A7PH 文字高さ6.8mm 長寿命タイプ |
応用例
産業用機械や工作機械の各種設定
- 運転制御に必要な時間、温度、サイクル数などの条件を設定
- 工作機械では加工寸法の上下限値の設定
計測器の設定入力
- 周波数、時間、温度など測定条件や範囲を設定
工作機械
半導体製造装置
計測器