地球温暖化などの環境問題に対する危機意識の高まりから、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの活用が加速化してきています。主に太陽光発電システムを構成する機器の1つであるパワーコンディショナなど、大きな電流・電圧が必要な機器で、回路のオン・オフや緊急時の安全遮断用途でリレーが使用されています。
太陽光で発電された直流電力を家庭やビル、工場などで使える交流電力に変換するパワーコンディショナ(PVインバータ)にはリレーが使用されています。
エネルギー活用の高効率化が求められる中、発電設備の高容量化も進み、これらの機器に組み込まれているリレーも、より高容量なものが求められてきています。
パワーコンディショナ(PVインバータ)
太陽光発電パネルに設置されている、太陽光で発電された直流電力を家庭やビル、工場などで使える交流電力に変換する装置
近年、太陽光発電システムでのニーズは変化してきています。地震や水害といった災害リスク対策として、より安定した電力供給が求められるようになり、集中型システムから分散型システムへとトレンドは移行しています。1つのパワーコンディショナで電力変換を行うのではなく、複数のパワーコンディショナに分散させることで、災害時でも設備の故障などにより発電が止まるリスクを軽減できるようになりました。さらに、個々の設備や機器においては、高容量・大電流化することにより発電効率を高め、小型化・軽量化することにより設備投資を抑えることで、設備の効率的な運用を行っていくことが求められるようになりました。
一方で小型化・高容量化が進むにつれ、エネルギーロスや機器の耐用年数低下の要因である機器自体の発熱を抑えることが喫緊の課題となってきました。
小型化・高容量化の障壁は機器内の発熱です。
高容量化により電流が2倍になると発熱量は4倍になってしまいます。
機器の発熱は、動作不良や基板の寿命を縮める原因となります。そのため、200~300Aクラスの大電流を流すリレーでは、ファンやヒートシンクなどの放熱機構が必要であり、装置自体が大型になる傾向がありました。
この発熱課題を解決するために開発された製品が、高容量パワーリレー 形G9KAです。G9KAは、業界トップクラス*となる超低接触抵抗0.2mΩ以下により、小型化・高容量化の大きな課題である発熱を抑制します。
*2021年7月当社調べ
また、同程度の電流容量のコンタクタと比べて高さが1/3程度のコンパクトなサイズ感で、機器の小型化・省スペース化にも貢献します。
接触抵抗が低いほど熱は発生しません。従来の一般的な高容量リレーが接触抵抗初期規格値1~5mΩ(実力値0.4mΩ程度)に対して、G9KAはセンター値及びばらつきを抑えることで、規格値を0.2mΩ以下と1/5まで抑えることができました。
結果、一般的な同等の性能を有するリレーと比較して、上昇温度を約30%も抑えることが可能です。さらに開閉耐久評価においても安定した接触抵抗(参考値)を維持し、同等の性能を有する従来のリレーと比較しても、大幅に低い接触抵抗で発熱課題に貢献します。
初期接触抵抗値は
業界トップクラス*の0.2mΩ以下
<シミュレーション条件>
480VAC/200A、周囲温度85℃、ファン・ダクト・ヒートシンク使用、基板に1個設置。
<シミュレーション条件>
480VAC/300A、周囲温度85℃、ファン・ダクト・ヒートシンク使用、基板に1個設置。
*2021年7月当社調べ
電気的耐久性試験後も
接触抵抗値0.3mΩ以下を維持
「発熱しにくい」からこそ、G9KAはお客様の様々なお悩みを解決できます。
低発熱だからこそ、発熱課題を気にすることなく51×51×47.2mmというサイズ感での800V/200A、56.7×51×54.5mmというサイズ感での1000V/300Aの高容量設計が可能です。
低発熱だからこそ、熱ストレスによる基板ダメージやエネルギーロスを軽減することが可能です。
低発熱だからこそ、ファンやヒートシンクなどの放熱設計が削減でき、設計工数の削減、機器の小型化、コストダウンが可能です。
オムロンは「高容量800V/200A、1000V/300A」と「発熱しにくい」という相反する2つのパフォーマンスを、オムロンの長年の技術ノウハウを組み合わせることにより実現させました。
G9KAでは、目標とした低接触抵抗を実現するために、Ag含有量99%以上の純Ag系接点を使用しています。
一般的に接触抵抗は、純Ag系接点<添加材入りAg接点ですが、耐溶着性は逆の傾向となります。従来の負荷開閉に利用されるリレーでは、アークによる接点溶着に対して、添加材入り接点材質を選定することで接点の溶着を防いでいましたが、そのかわり接触抵抗は、数十mΩまで増加していました。
G9KAでは、接点溶着を防ぐために、プランジャ型リレー構造を採用しています。
ストッパがハンマーのように振り下ろされることによって生じる衝撃力によって、溶着を確実に引き離すことが可能なため、溶着しやすい接点材料であっても、確実な接点引き剥がしを実現しています。
G9KAでは、ツイン接点構造を採用しています。通電路を並列化することにより、電流を分流化させ、1経路あたりの通電電流を減らすことで発熱を抑えることが可能です。
【シングル接点】
【発熱】
Qsgl = CR1*(200A)2*t
= CR1*4*104 *t
【ツイン接点】
【発熱】 = 発熱量1/2
Qtwn = CR1*(100A)2 *t *2接点
= CR1*2*104*t
G9KAの開閉構造には、ダブルブレーク構造を採用しています。
接点の遮断性能は、接点間隔で決まります。高容量のPVインバータでは、規格上3.6mm以上の接点間隔が必要となります。接点間の距離が大きくなるほど、リレーを駆動させるコイルも大きくなります。ダブルブレイク構造は接触点が2か所あるため、実質上2倍の接点ギャップの確保が可能となります。コイルを大きくすることなく、コンパクトなサイズ感で800V/200A、1000V/300Aの通電・遮断が可能となりました。
【シングルブレイク構造】
【ダブルブレイク構造】
計4mmの接点間隔の確保が可能
「高容量化が求められる=出来るだけ発熱はさせたくない」という機器にオムロンのG9KAはいかがでしょうか。
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