コネクタとは(種類、構造・部品、使い方を解説)
コネクタは電子・電気機器と外部機器の接続や、
機器内部のプリント基板など回路同士の接続に
欠かせない部品です。
ここではコネクタの概要、種類、規格などを説明します。
コネクタとは
コネクタは、回路と回路とを電気的に接続したり切り離したりすることを目的とした部品です。電気的に接続するだけなら、配線ケーブルを機器やプリント基板に半田付けすれば済みます。しかし、それでは接続や取り外しのたびに半田付け作業が必要になり、手間と時間がかかってしまいます。こうした接続にコネクタを使用すると、特別な工具や工程なしに、簡単に、接続/切り離しが繰り返しできるようになります。
コネクタを利用することで、機器の取り扱いは容易になり、電子機器の組み立て作業やメンテナンス作業などの効率も大いに向上します。
コネクタの多くは、1ピースタイプと2ピースタイプに分けられます。1ピースはプリント基板や電線を直接接続するタイプのコネクタです。2ピースはプラグ(ヘッダ、オスコネクタとも呼ばれる)とソケット(レセプタブル、メスコネクタとも呼ばれる)からなるコネクタです。プラグとソケットをはめ込んだ(接続した)状態を嵌合(かん合)と言います。
詳しくはコネクタの構造と部品の項で説明しますが、オムロンではピン状の導体(ピンコンタクトまたはコンタクトや接触子とも呼ばれる)がある方をプラグ、ピンコンタクトを差し込む形の導体(ソケットコンタクトまたはコンタクトや接触子と呼ばれる)がある方をソケットと呼んでいます。メーカーによっては逆の呼び方をしている場合もあります。なお、プラグとソケットの区別がなく全く同一の形状のコネクタ同士で嵌合できる、雌雄同形コネクタというものもあります。
コネクタは、電気的に確実に接続することが求められますが、その一方で容易に切り離しできなくてはなりません。コネクタの用途や種類によって、押し込むだけで嵌合し固定されるものや、工具を使わず手だけで固定されるもの、ネジによって固定されるものなど、多くのバリエーションがあります。
コネクタの種類
コネクタの種類(用途別)
コネクタは広範囲に利用されていますが、その中でも多く使われている用途に分類すると以下のようなものがあります。
1.音声・映像用
フォンコネクタ、RCAコネクタ、丸DINコネクタ、ミニDINコネクタ、HDMIコネクタ
2.通信・コンピュータ用
RJ-11、DSコネクタ、RJ-45、V.35コネクタ、USBコネクタ、IEEE 1394コネクタ、D-Subコネクタ
3.電源用
AC電源用コネクタ、DC電源用コネクタ、高電流(大電流)コネクタ、高電圧コネクタ
4.同軸ケーブル用
BNCコネクタ、N型コネクタ、TNCコネクタ、F型コネクタ、SMBコネクタ、SMCコネクタ
コネクタの種類(形状別)
1.丸型コネクタ
円筒形の外形で、嵌合部が丸型のコネクタ。内部に複数の接点(接触子)が並んでいるものや、同心円状の接点を持つものがある。
例:BNCコネクタ、PS/2コネクタ、丸DINコネクタ、ミニDINコネクタなど
2.角型コネクタ
嵌合部が角型のコネクタ。
例:D-Subコネクタ、IEEE 1394コネクタ、USBコネクタなど
3.プラグ/ジャック
主に音声信号用に使われる、棒状のプラグとそれに対応するジャック。
4.ヘッダー
プリント基板上に取り付ける、ピン状の接触子を備えたコネクタ。壁付き、壁なしの2種類がある。ピンヘッダー、ポストヘッダーとも呼ばれる。
5.エッジソケットコネクタ/FPCコネクタ
エッジソケットコネクタは、プリント基板の端に設けられた接触用パターンを直接挿入できるコネクタ。FPCコネクタは、FPC(フレキシブル基板)をプリント基板に接続するためのコネクタ。
6.ICソケット/短絡コネクタ
ICソケットはプリント基板に取り付け、そこにICを差し込んで使用するためのソケット。熱や静電気の影響を受けやすいICを直接基板に半田付けすることを避けるために使われる。短絡コネクタは回路を切り替えるための短絡を容易にするためのコネクタ。
コネクタの種類(接続形態別)
コネクタを接続形態で分類するとおおむね以下の4つになります。
1.基板と基板を電線でつなぐ
2.基板と基板を直接つなぐ
3.機器と機器をつなぐ
4.その他:短絡コネクタ、ICソケットなど
コネクタの構造と部品
コネクタの構造
コネクタの形状はさまざまです。構造や部品も異なりますが、基本的にはコンタクトとハウジングで構成されます。
コンタクト:コネクタを嵌合したとき相互に電気的な接続をするための接触子
ハウジング:コンタクトが組み込まれている本体部分で、通常は絶縁体
コネクタの種類や用途によって、さらに部品が追加されています。ここではD-Subコネクタを例に説明します。
シェル:絶縁体およびコンタクトを収納する外側のケース
アイレット:ハウジングとシェルを固定する留め具
コネクタ種類別の部品
同軸ケーブルの接続で使われる同軸コネクタ
中心コンタクト:同軸ケーブルの中心導体につながる接続子
シェル:同軸ケーブルの外部導体につながる接続子であり、プラグ側/ジャック側それぞれのケース部分でもある
フォーンプラグ/ジャック
コネクタの使い方
コネクタを使う上で注意すべき点は、使用および保存時の温度範囲、コネクタに接続するケーブルや基板などの仕様の適合、コネクタ接続における挿抜などです。
コネクタの使用について詳しくは、【使用編】 をご参照ください。
コネクタの規格
コネクタの規格には、コネクタ自体を定めたものと、規格コネクタを採用する通信規格などを含めたものがあります。
コネクタ自体を定める規格:DIN規格、MIL規格、IEC規格、USB規格など
規格コネクタを採用する通信規格などを含めた規格:Compact
PCI規格、RS-232C規格など
このほか、各国が事故の防止のために設けている安全規格があります。
コネクタの規格について詳しくは、【規格編】 をご参照ください。
コネクタの性能
コネクタに求められる性能は、主に電気的性能(定格電流、定格電圧、接触抵抗など)、機械的性能(挿抜力、挿抜回数、耐衝撃、耐振動など)、環境性能(耐熱、耐湿、耐ガス性など)、実装性能(半田付け性、半田耐熱性など)の4つがあります。
コネクタの性能について詳しくは、【技術編】 をご参照ください。