コネクタの基礎知識:技術編
定格/性能
コネクタの定格/性能は一般的には主に以下の4項目に分類されます。
1.電気的性能
定格電圧、定格電流、接触抵抗、絶縁抵抗、耐電圧など
2.機械的性能
挿抜力、挿抜耐久、耐振動、耐衝撃など
3. 環境性能
耐熱性、耐寒性、耐湿性、耐ガス性など
4. 実装性能
半田付け性、半田耐熱性など
電気的性能
1. 定格電流
電気的、機械的な特性の劣化なしに連続的に流せる最大電流。
2. 定格電圧
電気的、機械的な特性の劣化なしに連続的に印加できる電圧。
3.接触抵抗
規定された条件下で結合したコンタクトの電気抵抗。
通常、接触抵抗に導体抵抗を加えた抵抗(総合抵抗)を接触抵抗と言う場合が多く、抵抗値の大小より安定性が重要です。
4.絶縁抵抗
絶縁されたコンタクト間の抵抗。
5.耐電圧
絶縁された金属部間に電圧を1分間加えたとき、絶縁破壊の起こらない限界値。
機械的性能
1. 挿入力、抜去力(引抜力)
カップリングまたは同様なデバイスを作用させない状態で 一対のコネクタを完全に挿入または引抜くために要する力。
2.挿抜耐久
コネクタの保証される抜き差し回数で挿抜回数とも言います。
主に接点の接触圧力(接圧)及びめっき仕様よって決定されます。
オムロンでは、コネクタの接触信頼性において、耐環境性能が重要と考え、挿抜耐久の仕様を耐環境性の劣るニッケル下地めっきが露出してくるまでの回数を目安に決めています。
参考: 基本の金めっき厚と挿抜回数
(一部機種においてはこの限りではない場合があります)
0.15μm: 50回
0.4μm: 200回
0.76μm: 400回
挿抜によって接触部表面の金めっきが磨耗し、ニッケル下地めっきが露出し始めますが、 ニッケルは金に比べ硬く、耐摩耗性に優れている上、めっき厚も金よりもかなり厚いため、 素材(主に銅合金)が露出するまでには保証回数よりもかなり多くの挿抜が可能です。 単に挿抜しただけの状態であれば、接触抵抗はニッケル下地めっきが露出した状態でも低く安定しており、接触抵抗値だけで見ると問題ないと言えます。
しかし、この状態のものを悪環境下で使用すると、ニッケルの腐食によって接触抵抗が 増加し、不安定になってしまいます。
このことを考慮し、オムロンでは金めっきの摩耗状態を目安として挿抜回数を設定しており、その回数を超えたものについては、交換を推奨しています。
その他の性能
耐振動、耐衝撃、各種環境性能、実装性能は、コネクタの使用環境条件や経年劣化の影響について、各種環境試験を行い保証しているものです。
これらの項目は一般的には単独項目で設定されており、複合での条件、基準ではありません。
また、コネクタではその機能や構造により、個別の性能を定めたものがあります。 ロック強度、電線引張強度など、様々な性能があります。