リレーの基礎知識:基礎編
定義
リレーとは外部から電気信号を受け取り、電気回路のオン/オフや切り替えを行う部品です。
「リレー」という言葉から連想するのは、バトンを渡しながら走る競技ではないでしょうか?
電気製品に組み込まれた「リレー」も電気信号を受け取り、スイッチをオン、オフすることにより次の機器へ信号を伝える働きをしています。
例えばテレビのリモコンのスイッチを押すと、テレビの中の「リレー」に電気信号が送られ、主電源のスイッチが入り、テレビが視られるようになります。リレーは、電気の流れる量・回路の数など、その用途によって数多くの種類があります。
種類と分類
リレーは大きく分けて有接点リレー(メカニカルリレー)と無接点リレー(MOS FETリレー、ソリッドステート・リレー)に分類されます。
有接点リレー(メカニカルリレー)
接点を持っており、電磁作用により機械的に接点を開閉させて信号や電流・電圧を“入”“切”するものです。
無接点リレー(MOS FETリレー、ソリッドステート・リレー)
有接点のような機械的な可動部を持たず、内部はトライアック、MOS FETなどの半導体・電子部品で構成されています。信号や電流・電圧の“入”“切”はこれらの電子回路の働きで電子的に行うものです。
構造と原理
1. メカニカルリレー
基本構造
リレーは電気信号を受けて機械的な動きに変えるコイル部と、電気を開閉する接点部で構成されます。
動作原理
スイッチとリレーでランプを点灯させる場合を考えてみましょう。
画像をスライドしていくと動作原理がわかります。
2. MOS FET リレー
基本構造
MOS FETリレーとは、出力素子にMOS FETを用いた半導体リレーです。
MOS FETリレーは以下の3つのチップで構成されています。
LED(発光ダイオード)チップ
フォトダイオードアレイ(PDA)チップ* Photo Diode Arrayの略称(太陽電池+制御回路)
MOS FET チップ* Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistorの略称
(金属 酸化物 半導体 電界 効果 トランジスタ)
動作原理
MOS FETリレーは以下の原理で動作しています。
画像をスライドしていくと動作原理がわかります。
特徴と働き
1. リレーの特徴
メカニカルリレー
メカニカルリレーの最大の特徴はコイル部と接点部が物理的に離れていることです。そのため、入力側と出力側で絶縁性(絶縁距離)が確保できます。
コイル部
電磁石の働きで鉄片を引き寄せます。
接点部
固定接点と可動接点の組み合わせにより回路を開閉します。ここに負荷をつなぐことで、負荷の開閉ができます。
MOS FET リレー
MOS FETリレーの最大の特徴は、接点が半導体のため機械的な開閉がないことです。そのため、メンテナンスフリーに加えて、静音や長寿命、小型などの特徴があります。
超小型・軽量 | SSOP、USOPをはじめ、さらに超小型の新パッケージVSONも新登場し、機器全体の小型化に貢献します。 |
低駆動電流 | 駆動電流は推奨動作条件(標準)で2〜15mA程度です。最小0.2mA駆動品もラインナップ、機器全体の省エネルギー化に貢献します。 |
長寿命 | 光信号伝送方式による無接点構造のため、接点磨耗による寿命の劣化がなく、長寿命を実現しました。 |
漏れ電流が微小 | 外来サージへの耐性が高く、スナバ回路も付加されていないため、通常時で1nA以下とオフ時の漏れ電流が極めて微小です。(形G3VM-□GR□、-□LR□、-□PR□、-□UR□) |
耐衝撃性に優れる | 内部の部品が完全にモールドされており、かつ可動部品などの機構部品もないため、耐衝撃性、耐振動性に優れています。 |
静音 | 機械式リレーのように金属接点による開閉音が生じないため、機器の静音化に貢献します。 |
高絶縁性 | 電圧を光に変換し、信号として伝送するため、入出力間を電気的に絶縁。標準で入出力間耐電圧AC2500Vを確保し、さらに上位の5000V製品もシリーズ化して、高い絶縁性を実現しました。 |
高速応答性 | 0.2ms (SSOP、USOP、VSON)の動作時間は、メカニカルリレーの3ms〜5msと比べて格段に高速。 迅速な応答性を実現しました。 |
微小アナログ信号を 正確に制御 |
トライアックなどと比べて不感帯が極めて小さいため、微小アナログ信号の入力波形をほとんど歪めることなく、出力波形に変換します。 |
2. リレーの3つの働き
1.小さな電流で大きな負荷の開閉を行う
コイル部に電圧を加えると小さな電流が流れます。接点部に大きな電流を流して負荷を動作させることができます。
2. 異なる種類の電気信号を伝達する
DC電源でAC負荷も電気制御(開閉)できます。
3. 一つの信号入力で複数の出力を出す
コイル部への一つの入力信号で、いくつもの独立した回路を同時に開閉(制御)できます。