フォト・マイクロセンサ
活用ガイド
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サマリー

フォト・マイクロセンサ(フォトインタラプタ)とは光を利用して、物体の有無や位置を検出する小型の光センサです。豊富なバリエーションの中から用途に合わせてお選びいただけます。代表的な用途として、物体の有無検知、回転ディスクのカウント、移動物体の位置決め、回転方向検知(エンコーダ用途)があります。ここではフォト・マイクロセンサを有効に活用していただくため、フォト・マイクロセンサの原理、種類、使い分けなどの解説と、具体的なアプリケーション事例を詳しく紹介します。

フォト・マイクロセンサ(フォトインタラプタ)とは?

フォト・マイクロセンサとは光を利用して、物体の有無や位置を検出する小型の光センサです。
一般的に、透過形センサは「フォトインタラプタ」と呼ばれています。この機器内蔵用のフォト・マイクロセンサは、民生機器(プリンタ複合機、IPカメラ、ロボット掃除機など)や、業務機器(ATM、複写機、アミューズメント機器、スマートガスメータ)などの高い信頼性が求められる機器に採用されています。
詳しくは『フォト・マイクロセンサの基礎知識』をご確認ください。

フォト・マイクロセンサ(フォトインタラプタ)とは?

フォト・マイクロセンサ (フォトインタラプタ) の種類

フォト・マイクロセンサ(フォトインタラプタ)は、透過形(溝形)と反射形の二つの検出方式に大別できます。また、接続方式や取り付け方法により、さまざまな種類があります。基板実装タイプが主流ですが、従来のリード端子タイプにくらべ、表面実装(SMD)タイプは組立工数の削減や機器の小型化/薄型化に有効です。検出物体がメイン基板から離れた場所にある場合は、プリワイヤタイプや配線・メンテナンス性に優れたコネクタタイプが使われます。機器の構造に合わせて最適なセンサを豊富なバリエーションから選定してください。

  • SMD
  • コネクタ
  • リード端子
  • プリワイヤ
  • 接続方法/取り付け
[一般使用例]・SMDタイプ:基板に表面実装、・コネクタタイプ:ねじ取り付け/スナップイン、実装不要、コード付コネクタ(別売)・プリワイヤタイプケーブル付き:※コネクタ着脱可能・リード端子タイプ;基板にはんだ実装
SMDタイプ
基板に表面実装
コネクタタイプ
・ねじ取り付け/スナップイン ケーブル付き
・実装不要
・コード付コネクタ(別売)
リード端子タイプ
基板にはんだ実装
ブリワイヤタイプ
ケーブル付き(※コネクタ着脱可能)

フォト・マイクロセンサ 分類表

(フォト・マイクロセンサ)検出方式:透過形 (フォトインタラプタ)、接続方式:基板実装(取り付け)表面実装、スルーホール、ネジ取り付け 接続方式:コネクタ(取り付け)スナップ イン、ネジ取り付け 検出方式:反射形 (フォトリフレクタ)、接続方式:基板実装(取り付け)表面実装、スルーホール、ネジ取り付け

フォト・マイクロセンサ (フォトインタラプタ)の用途例

フォト・マイクセンサ(フォトインタラプタ)の代表的な用途は、物体の有無検知、回転ディスクのカウント、移動物体の位置決め、回転方向検知(エンコーダ用途)などがあります。透過形 (溝形)および反射形フォト・マイクロセンサの代表的な使い方は以下のとおりです。

用途別 透過形(溝形) 反射形
有無検知

代表用途
機器のカバー開閉検知

※カバーに光路遮へい板を付加し、この板を検出する

代表用途
紙などの有無検知およびマーク検知(白地に黒マーク等)

※検出物体を直接検知する

カウント

代表用途
ディスクの回転数検知

※高速回転にはフォト・IC出力が有効

代表用途
ディスクの回転数検知

※機器の小型・薄型化に貢献

位置決め
(原点検知)

代表用途
機構のホーム・エンド検知

※回転ディスクの場合は原点検知

代表用途
紙、紙幣などの通過位置決め

※検出物体を直接検知する

回転方向検知

代表用途
ロボットのモータ制御
(エンコーダ用途)

※高精度が必要なため、一般的に透過形が使用される

 

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フォト・マイクロセンサとメカスイッチの違いについて

マイクロスイッチの有接点による開閉に対し、フォト・マイクロセンサ (フォトインタラプタ)は光を使った非接触スイッチングであることが大きな違いです。よって、耐久性、検出位置精度、応答速度などの点でフォトマイクセンサが優れていますが、マイクロスイッチはAC,DC両方に使用でき、LED発光が不要なため低消費電流が要求されるバッテリー駆動機器などに有効です。

フォト・マイクロセンサ (フォトインタラプタ)とマイクロスイッチの主な違いと使い分けについては下表のとおりです。用途に合った最適な商品を選定する際の参考にしてください。

フォト・マイクロセンサ

  • 耐久性

    開閉回数の制限なし
    ただし、発光素子(LED)の経時変化あり。

  • 検出位置精度

    ± 0.25 mm 以下 (=スリット幅)
    ※繰り返し検出位置精度:0.01 mm

  • 応答速度

    3,000 回 / sec. (フォト・IC出力タイプ)

  • 電圧仕様

    DC 4.5 - 16 V (フォト・IC出力タイプ)

  • クリック感

    なし

  • 外乱光の影響

    あり(カバーなどで外乱光の影響を避ける)

  • 特長

    光を使った非接触スイッチングにより、摩耗・腐食などによる接点劣化がないため、開閉頻度が多く、高信頼性が要求される用途に最適です。
    また、微小物体検出、 応答速度、検出位置精度の点で優れているため、複写機やATMの紙・紙幣通過検知、カメラやロボットのギヤ回転数検知などに使用されます。

マイクロスイッチ

  • 耐久性

    機械的耐久性:100 万回以上
    電気的耐久性:1-10 万回以上

  • 検出位置精度

    ± 0.3-1.5 mm 以下

  • 応答速度

    100-200 回 / min.

  • 電圧仕様

    DC 30V 以下
    AC 125V - 250V 以下

  • クリック感

    あり

  • 外乱光の影響

    なし

  • 特長

    接点で回路を開閉するシンプルな構造であるため、DC/AC両方に使用でき、光、磁気、ノイズ等の影響を受けません。また、バッテリー駆動の機器など低消費電力が要求される用途や、開閉時のクリック感が必要な機器(マウス、ジョイスティックなど)に適しています。 さらに、機種によっては、高容量 負荷開閉が可能です。

※本表の内容はすべての機種に共通している訳ではありません。詳細仕様は各商品のデータシートにてご確認ください

非接触スイッチングのフォト・マイクセンサは摩耗・腐食などによる接点劣化が無いため、長寿命で高い信頼性を有しています。たとえば、長期にわたって年に数回しか操作しない機器のカバー開閉検知などのアプリケーションでは、周囲雰囲気によっては接点の酸化・硫化などによるスイッチの開閉不具合の可能性があります。フォト・マイクセンサは、このような用途にも安心して使用できます。

透過形(溝形)と反射形フォト・マイクロセンサの使い分け

透過形(溝形)と反射形フォト・マイクロセンサの構造と原理は以下のとおりです。

透過形(フォトインタラプタ)

透過形(フォトインタラプタ) 図解

投光器と受光器の間を検出物が有るまたは通過するときに光を遮ることにより物体有無を検知します。

反射形(フォトリフレクタ)

反射形(フォトリフレクタ) 図解

検出物に光を反射させることにより、物体有無を検知します。

透過形(溝形)フォト・マイクロセンサ(フォトインタラプタ)はスリットを通して物体を検出するため、微小物体検出や検出位置精度が求められる用途に適しています。反射形は物体の有無検出だけでなく、物体表面のマーク検出が可能であり、また、機器の薄型化にも有効です。フォト・マイクセンサは、検出物体の表面状態や位置・角度ばらつきに左右されない透過形(溝形)の方が安定した検出に適しています。機器設計時にまず透過形での検出ができないか(検出物体が完全遮光物体の場合)検討することをお薦めします。透過形(溝形)と反射形フォト・マイクロセンサの使用上のメリット・デメリットは以下のとおりです。

 

透過形(溝形)

反射形

メリット
  • 微小物体を検出できる
    ※スリットより大きいしゃ光性の優れた検出物体(例:金属物体)
  • 検出位置精度が高い
    ※スリット幅の中でON/OFFする
  • ・受光側のスリットが小さいため、外乱光の影響を受けにくい
  • ・検出物体の有無を直接検知できる
    機器の構造単純化、小型化、薄型化に貢献
  • ・物体表面のマークの有無を検知できる
    (例:白地テープ上の黒マーク検出)
  • ・構造上(投・受光素子が同一方向を向いている)、小型のセンサがラインアップ
デメリット
  • ・部品点数の増加
    溝形の構造上、一般的に検出物体にしゃ光板を付加して、これを検出する
  • ・微小物体や低反射率物体の検出には不向き
  • ・検出物体のサイズ、色、表面状態や、検出距離に影響されやすい
    角度など、受光量の変動要因が多いので、実機での検討項目が多い
  • ・検出エリアが広いため、検出位置精度が低い
  • ・受光エリアが広く、外乱光の影響を受けやすい

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フォトトランジスタとフォト・IC出力フォト・マイクロセンサの使い分け

フォトトランジスタ出力タイプは、スイッチングのしきい値を外部回路で設定しますが、フォト・IC出力タイプはしきい値が内部回路で固定されています。アプリケーションにより最適なしきい値設定をしたい場合には、フォト・トランジスタ出力タイプを選定します。また、高速応答が要求される用途には、フォトIC出力タイプが有効です。

フォトトランジスタ出力タイプとフォト・IC出力タイプの違いは以下のとおりです。用途に合った最適な製品を選定する参考にしてください。

  フォト・トランジスタ出力 フォト・IC出力
内部回路
回路構成

検出物体が有る状態(A)、無い状態(B)のフォトトランジスタに流れる光電流IL(A)、IL(B)を比較することで、検出物体の有無を判別します。

判別のためのしきい値は、外部回路で設定します。

フォト・IC出力タイプの回路構成を以下に示します。

したがって、出力がON/OFFするしきい値は固定されています。

使い分け

実機において、光電流IL(A)とIL(B)の比が十分に大きくない場合は、最適なしきい値を設定することが安定検出の鍵となります。こういった場合には、しきい値が設定できるフォトトランジスタ出力タイプを選定します。

実機において、光電流IL(A)とIL(B)の比が十分に大きい場合は、回路設計が容易なフォト・ICタイプがお薦めです。また、スリット付ディスクの回転数検知など、高速応答(3KHz min.)が必要となる用途に最適です。

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