フォト・マイクロセンサの基礎知識:設計編Ⅱ
フォト・マイクロセンサ (フォトインタラプタ)を使用するうえで具体的にどう設計するか説明します。
受光素子側の設計は、フォトトランジスタとフォト・ICのおおきく2種類に分類されます。
受光素子側の設計:フォト・ICの場合
構成図
図19は、フォト・IC出力形フォト・マイクロセンサの回路構成図です (形EE-SX3081 (しゃ光時ON)、形EE-SX4081(入光時ON)) 。
この図をもとに、フォト・IC出力形フォト・マイクロセンサの設計法を説明します。
LED順電流IF供給回路
LEDが単独に構成されているので、外部から適切なレベルの電流を供給してやることが必要で、フォト・IC出力形フォト・マイクロセンサ (フォトインタラプタ)の設計で一番重要な項目です。
すなわち、どれくらいの順電流IFで、受光側 (フォト・IC) が動作するか。がポイントであり、これさえうまく設計できれば、受光側 (フォト・IC) は、電源につなぐだけといった簡単な考え方で、フォト・IC出力形フォト・マイクロセンサを使いこなすことができます。
さて、最適電流値については、データシートの電気的特性表で、「出力オフ (オン) 時LED電流」を知ることにより、設計することが可能となります。
表4は、形EE-SX3081、形EE-SX4081のデータシートから、その一部を抜粋したものです。
表4. 各種要素における受光素子の依存性
項目 | 記号 | 特性 | 条件 |
---|---|---|---|
出力オフ時LED電流 (形EE-SX3081) | IFTOFF | 8mA MAX | VCC=4.5~16V Ta=25℃ |
出力オン時LED電流 (形EE-SX4081) | IFTON |
さて、いよいよ設計に入ります。ポイントとしては、以下が必要条件となります。
- 形EE-SX3081 ではIFTOFF以上の順電流を流す。
- 形EE-SX4081 ではIFTON以上の順電流を流す。
形EE-SX3081、形EE-SX4081では、この値が最大8mAとなっており、実使用においては8mA以上の順電流IFを流すことになります。
では、8mA以上なら、8.1mAでも100mAでも良いのか…ということになりますが、これらについて、まず上限値は絶対最大定格で決定 (制限) されます。したがって、この上限値の設計は図20をもとに使用周囲温度 (最大値) より行ってください。
絶対最大定格(Ta=25°C) 形EE-SX3081、形EE-SX4081
項目 | 記号 | 定格値 | 単位 | |
---|---|---|---|---|
発光側 | 順電流 | IF | 50*1 | mA |
逆電圧 | VR | 4 | V | |
受光側 | 電源電圧 | VCC | 16 | V |
出力電圧 | VOUT | 28 | V | |
出力電流 | IOUT | 16 | mA | |
出力許容損失 | Popr | 250*1 | mW | |
動作温度 | Topr | -40 to 75 | °C | |
保存温度 | Tstg | -40 to 85 | °C | |
はんだ付け温度 | Tsol | 260*2 | °C |
*1. 周囲温度が25°Cを越える場合は、温度定格図をご覧ください。
*2. はんだ付け時間は10秒以内
つぎに、必要でかつ十分なレベルですが、絶対最大定格以内でできる限り、高目の順電流IFを流すようにしてください。このレベルが (あまりに) 8mAに近い値ですと、温度変化や経年的な発光出力の低下、さらには塵埃などの付着による伝達効率の低下により受光側 (フォト・IC) が働かなくなることがあります。具体的にはIFTOFF(ON)の規格値の2倍程度の順電流IFを流すようにしてください。
図21に、フォト・IC出力形フォト・マイクロセンサ (フォトインタラプタ)の基本回路を掲げます。
なお、受光側における注意点としては、リレーなどを駆動する時は、図22のように、逆電圧吸収用ダイオードDを外付けするようにしてください。
図21. 基本回路
図22. 誘導負荷時の接続例
受光側回路
電源端子 (図19の+、-端子) に、所定 (絶対最大定格) 内の電圧、出力端子 (図19のOUT端子) には、同様に所定内の電流 (出力電流IOUT) を流せば完了です。