MOS FETリレー(無接点リレー)の基礎知識:使用編
MOS FETリレーの選定方法
MOS FETリレーの選定方法
MOS FETリレーは、以下の手順で選定してください。
- ① 出力側の電圧
- ② 出力側の電流
- *ACの場合はピーク値を確認
- ③ 接点タイプの選定 (1a or 1b)
入力電流 | a接点 | b接点 |
---|---|---|
無通電時 | ||
通電時 |
データシートでMOS FETリレーを選定する場合
MOS FETリレーを以下の選定条件でデータシートから選定する場合、青枠で示す各項目を確認してください。
- 【選定条件例】
- ① 出力側の電圧:60VDC
- ② 出力側の電流:500mA
- ③ 接点タイプ:1a
パラメトリックサーチでMOS FETリレーを選定する場合
MOS FETリレーは外形サイズが同じで仕様が異なる商品が多いため、パラメトリックサーチを使用する場合は、上記3項目(➀、②、③)を絞り込む方法をおすすめします。
MOS FETリレーの推奨動作条件
MOS FETリレーの動作電流の設計値は、データシートに記載の「推奨動作条件」の範囲で回路設計してください。
詳細に回路設計したい方向け
MOS FETリレーは、物理接点がないため、基本的には半永久的に使用が可能です。そのため、LEDの光量推定で寿命を予想します。
LEDの光量は、さまざまな要因で変化します。電流値が大きくなれば、光量も強くなります。また長年使用していると劣化により光が少しずつ弱くなっていきます。そのため、長くご使用いただくためには、経年劣化時の発光量も考慮しなければなりません。さらに、温度が高い環境下であればMOS FETを駆動させるために必要な電圧が高くなるため、平常の温度よりも大きな電流を必要とします。MOS FETリレーは定格以上の電流を流すことはできません。これらの要素を正しく設計に組み込まなければ、機器の故障につながります。
- 周囲温度環境の影響
- LEDの経年劣化
さらに詳しい説明は、「入力側電源設計時の電流値の考え方」でご紹介しています。
MOS FETリレーの回路例
MOS FETリレーを使用した入力側/出力側の回路例は以下となります。
MOS FETリレーの入力側の回路例
入力側のサージ電圧保護回路
代表的な回路例を下記に示します。
駆動回路例
C-MOSの場合
トランジスタの場合
MOS FETリレーの出力側の回路例
外付けダイオードでエネルギーを吸収する場合
選定の目安:
ダイオードは逆耐電圧が回路電圧の10倍以上のもので順方向電流は負荷電流以上のものをご使用ください。
スナバ回路でエネルギーを吸収する場合
選定の目安:
C、Rの目安としては
C:接点電流1Aに対し0.5 ~ 1(μF)
R:接点電圧1Vに対し0.5 ~ 1(Ω)です。
ただし負荷の性質や特性のバラツキなどにより異なります。
Cは接点開離時の放電抑制効果を受けもち、Rは次回投入時の電流制限の役割ということを考慮し、実験にてご確認ください。Cの耐電圧は一般に200 ~ 300Vのものを使用してください。AC回路の場合はAC用コンデンサ(極性なし)をご使用ください。ただし直流高電圧で接点間のアークの遮断能力が問題となる場合に、負荷間より接点間にCRを接続した方が効果的な場合がありますので実機にてご確認ください。
バリスタで過電圧をカットする場合
選定の目安:
バリスタのカット電圧Vcは下記の条件内になるように選びます。交流では 倍することが必要です。
Vc > (電源電圧×1.5)
ただし、Vcを高く設定しすぎると高電圧へのカットが働かなくなるため効果が弱くなります。
備考:
- 保護素子を用いた場合、負荷側の復帰時間(しゃ断時間)が遅くなる原因となりますので、必ず実負荷にてご確認の上、ご使用ください。
- ダイオード、スナバ(C-R)、バリスタなどの保護素子を実際に組み込む場合には負荷またはMOS FETのすぐ近辺に取り付けることが必要です。あまり距離が離れていると、保護素子をつけた効果が発揮できない場合があります。
バリスタの選定方法
■出力端子両端間にバリスタを接続してください。
■選定方法
バリスタ電圧がMOS FET リレーの負荷電圧 (VOFF) を超えないようにしてください。
- ESDの場合:静電気対策用の積層形チップバリスタが一般的です。
- 商用AC電源で使用する場合下表の「バリスタの目安」をご参照ください。
バリスタの目安
電源電圧 | 推奨バリスタ 電圧 |
絶対最大定格 VOFF |
サージ電流耐量 |
---|---|---|---|
AC100V ライン | 220 ~ 270V | 400-600V | 1000A 以上 |
AC200V ライン | 430 ~ 470V | 600V | 1000A 以上 |
無接点リレーの回路図で見かける回路図記号
無接点リレーの回路図では以下のような記号を使います。
寄生ダイオード
(ボディダイオード)
発光ダイオード
ツェナー
ダイオード
バリスタ
コンデンサ
交流電源
直流電源
抵抗
コイル
アース電極
※JIS電気回路記号は旧表示を使用しております。