ディップスイッチとは
定義
ディップスイッチは、電子回路のプリント基板に実装され、電子機器の各種設定に用いられる小形のスイッチです。 集積回路
(Dual Inline Package)と同じ形状・配列の端子をもつことからディップ(DIP)スイッチと名付けられました。
特徴
小形、低背 | 隣接する端子間距離(ピッチ)2.54mm、高さ3.5mmを標準サイズとし、ピッチが1.25mmといった小形化も進んでいます。 |
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高接触信頼性 | 設定用で操作頻度は低いため、材料や機構で工夫して高い接触信頼性を保っています。 |
自動実装 | 他の部品と同じ実装機に対応できるようスティック、テーピング等の梱包形態を採用して自動実装を可能にしています。 |
ディップスイッチは、設定用スイッチの区分に入り、設定条件をオン/オフの信号で出力します。
種類
ディップスイッチは、操作方式によりスライド/ピアノ/ロータリの3タイプに分類されます。
そして、それぞれのタイプにおいて、プリント基板への実装方式に対応した基板穴挿入端子と基板表面実装端子を用意しています。
操作部の形状は、スライドタイプではフラット/凸、ピアノタイプでは短レバー/長レバー、ロータリタイプではフラット/シャフトが基本となっています。
スライドタイプ | |||||
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フラットタイプ/凸タイプ | フラット タイプ |
||||
基板穴挿入端子 |
標準形 |
高信頼性形 |
ボックス形 |
シール形 |
|
基板表面実装端子 |
高信頼性形 |
高はんだ耐熱形 |
ハーフピッチ形 |
ピアノタイプ | |||
---|---|---|---|
短レバータイプ/長レバータイプ | 長レバータイプ | ||
基板穴 挿入端子 |
ボックス形 |
薄形 |
シール形 |
基板表面 実装端子 |
薄形 |
ハーフピッチ形 |
ロータリタイプ | |||
---|---|---|---|
フラットタイプ/シャフトタイプ | フラットタイプ | ||
基板穴 挿入端子 |
標準形 |
シール形 |
小形/シール形 |
基板表面 実装端子 |
標準形 |
小形 |
1. 操作部
操作部を摺動させるスライドタイプ、押し下げるピアノタイプ、回転させるロータリタイプといった切り替え方式と操作部の形状においてバリエーションを用意しています。
スライドタイプ
凸タイプ | フラットタイプ | フラットタイプシール付 |
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ピアノタイプ
短レバータイプ | 長レバータイプ |
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ロータリタイプ
フラットタイプ | シャフトタイプ | コーンタイプ | ホイールタイプ |
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2. 端子
端子は極数以外にプリント基板への実装方式で基板穴挿入端子/基板表面実装端子
ピッチで標準ピッチ(2.54mm)/ハーフピッチ(1.27mm)のバリエーションを設けています。
実装方式
基板穴挿入端子 | 基板表面実装端子 |
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ピッチ
標準ピッチ(2.54mm) | 右側テキスト→ハーフピッチ(1.27mm) |
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端子形状、ピッチ、高さなどは同じプリント基板に搭載する部品にあわせて選定します。
構造
1 カバー
ベースと嵌合させて内部の機構を保護します。
2 ストライカ
先が細いもので操作してオン/オフを設定します。摺動子に荷重をかけて摺動子と接点間の接触を安定させます。
3 摺動子
V字形の可動接点。ストライカと連動して2つの接点同士を接続/遮断することでスイッチをオン/オフします。
4 接点端子
ベースに一体成形で組み込まれます。端子形状は基板穴に挿入するタイプと基板表面に実装するタイプがあります。
5 ベース
端子と接点とを一体成形してつくられます。カバーとともにスイッチ内部を保護します。
製品
スライドタイプ | ピアノタイプ | ロータリタイプ |
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基板穴挿入端子 | ||
A6ER ボックス形 |
||
スライドタイプ | ピアノタイプ | ロータリタイプ |
---|---|---|
基板表面実装端子 | ||
応用例
FA機器や産業用機械のモード設定
- 温度調節器、サーボコントローラなど工場自動化用制御機器
- 自動実装機
温度調節器
サーボコントローラ
自動実装機
PC周辺機器、通信機器の仕様設定
- PC、モデムの基板
PC
モデム