コネクタの基礎知識:使用編
使用上の注意
1.使用温度範囲について
使用温度範囲はコネクタの通電による自己温度上昇分を含みます。
すなわち、以下の考え方になります。
使用周囲温度 + コネクタの自己温度上昇分 ≦ 使用温度範囲上限
2. 保存温度範囲について
保存温度範囲はコネクタが梱包された状態で保存されるときの条件です。
プリント基板に実装された後、通電しない状態で保管する場合は使用温度範囲を適用します。
3. コネクタに接続する電線、プリント基板の仕様について
使用するコネクタに適合する電線仕様(サイズ、材質など)、プリント基板仕様(基板厚、基板スルーホール仕様など)のものを使用してください。
また、適切な工具、設備などを使用し接続を行ってください。
4. コネクタの挿抜について
- コネクタの挿抜はまっすぐ行ってください。
- 奥まで挿入してください。
- ロックがある場合は、確実にロックができていることを確認してください。
- 抜去時はロック解除ができていることを確認してください。
他にも様々な注意事項があります。 カタログ、仕様書をご確認の上使用してください。
コネクタの使用における故障
コネクタの故障は大きく3つあります。
1.初期故障
アプリケーションとして使用される前に故障しているもの
- フラックスの付け過ぎ/洗浄液の汚れの接点付着による接触不良
- 基板コーティング液が接点に付着し接点が固まり接触不良
2.偶発故障
主に機械的ストレスによる突発的な故障
- 製品を落とす/ぶつける
- ケーブルごと引っ張りコネクタが破損する
- 逆向きでの挿入によりコネクタが破損する
3.摩耗故障
アプリケーションとして使用している中で故障するもの
- 挿抜回数を超える挿抜により接点部のめっきが剥れ、腐食し、導通不良 になる
- 使用温度範囲を超える高温環境の中で使用することで接点部コンタクトがへたり、十分な接触圧力が得られずに瞬断や接触不良になる
- 挿抜回数以上にロックを操作しロックが摩耗により破損する
これらの故障を回避するために使用上の注意を守ってご使用ください。
コネクタの寿命
コネクタの寿命について(一般的な寿命の考え方)
コネクタの寿命としては接触不良や破損などがありますが、そういった寿命に関しては時間的な概念がコネクタそのものにはありません。
寿命としては機械的劣化、環境劣化、電気的劣化などが考えられます。
ただ、いずれの場合も、どの状態を寿命と見るかによって判断が変わります。
コネクタの使用される環境や、劣化状態、使用しているアプリケーションのコネクタに 対する要求レベルなどによって変化します。
コネクタは機構部品(接続部品)であり、この部品自体が単独でなにかを動かすような もの(能動部品)や何かの力を得て動くようなもの(受動部品)ではないため、コネクタ単独では接触抵抗、挿抜回数などで判断しています。