低発熱でEV充電器の高出力化に貢献 形G9KC 40A 4極PCBパワーリレー

電気自動車(EV)の普及加速にともない、エネルギーをより無駄なく効果的に活用できる、高性能なEV充電器の需要が増加しています。これら顧客ニーズを実現するための機器設計課題の解決例をご紹介します。

オムロンのリレー:低接触抵抗で低発熱 => EV充電器への提供価値:(筐体内の温度上昇を抑え機器を長寿命化、機器の高出力化で充電時間を短縮、機器の小型・軽量化、生産自動化・省力化)EV充電関連規格 IEC62955に準拠

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EV交流充電器のトレンド

EV交流充電器においては、高出力化による充電時間短縮が求められており、電流増・三相対応などがトレンドとなっています。
また、一般家庭や商業施設などで使用される据置型EV交流充電器は、設置、デザイン性、物流などの観点で、小型、スリム化、軽量化を考慮した機器設計が必要であるとともに組立時の生産性向上・コスト削減が求められています。

EV交流充電器の高出力化トレンド

単相:3.6kW (230v/16A) => 7.4kW (230v/32A) 高出力化(グローバル共通)。9.6-12kW (240v/40-50A) => 19kW (240v/80A) 高出力化(米国などの住宅、商業施設、事業所)。三相:11kW (400v/16A) => 22kW (400v/32A) 高出力化(欧州などの住宅、商業施設、事業所)。

注. 2024年3月 当社調べ

EV交流充電器の設計課題について

(1) 充電能力の低下回避(パワーリレー使用時の課題)

EV交流充電器の高出力化における課題として、部品の発熱による筐体内部の温度上昇が挙げられます。
機器の内部温度が上昇すると、充電電流抑制回路が作動し、充電時間が長くなり効率が低下します。
特にリレーはコンタクタに比べて接触抵抗が高い傾向にあるため、大電流化によって発熱が大きくなります。
EV充電器は屋外設置が一般的であり、水の侵入回避のため、機器筐体は基本的に密閉に近い状態となっています。また、充電器の小型・スリム化により、筐体が小さくなると内部温度がさらに上昇しやすくなります。

リレーの発熱 => 電流抑制回路の作動 => 充電時間の延長

(2) 機器のコスト削減、小型軽量化(コンタクタ使用時の課題)

EV充電器のような高容量の回路遮断には、コンタクタが採用されているケースもあります。しかし、コンタクタは一般的にケーブル配線であるため、配線工数やネジ締め/誤配線のチェックなど、組立て生産性に課題があります。また、コンタクタはサイズが大きく、機器の小型・スリム化、軽量化設計には有効とはいえません。

これらの課題を解決するには、発熱が少なくなるよう接触抵抗の小さいリレーを選定する必要があります。

オムロン製品:形G9KCの提供価値について

高効率で大きな電力を給電できる三相に対応したEV充電器が、欧州の住宅向けをはじめ、グローバルでも集合住宅、商業施設、事業所などで普及し始めています。さらに、充電時間短縮のため、高出力化 (22kW [400VAC/32A 3Φ]など)が進んでいます。

EV交流充電器の回路イメージ

オムロンは、この三相EV充電器の課題を解決する「小型の4極PCBパワーリレー:形G9KC」をご用意しています。

パワーリレー 形G9KCの提供価値

(1) 熱ストレス低減による機器の長寿命化

形G9KCは低接触抵抗(初期値:6mΩ以下)のため発熱を抑えられます。そのため、充電器筐体内での局所的な温度上昇を抑え、周辺部品の熱による劣化速度や故障リスクを低減し機器の長寿命化に貢献します。また、基板設計の自由度が向上します。

・低接触抵抗値に関するテストデータなどの詳細はこちら

(2) 機器の高出力化で充電時間を短縮

形G9KCは低発熱で充電器筐体内の温度上昇を抑えられるため、充電電流の抑制やオーバーヒートによる充電能力の低下を回避し、設計上の充電時間短縮に貢献します。

(3) 充電器の小型・スリム化に貢献

コンタクタを小型のパワーリレー形G9KCに切り替えることで、機器筐体の小型・スリム化が可能となります。充電器の筐体サイズ(表面積)が小さいほど温度上昇しやすく許容発熱が小さくなるため、低接触抵抗の低発熱リレーは小型・スリム化に有効となります。

(4) 充電器の生産自動化・省力化に貢献

コンタクタからPCB実装可能なパワーリレー形G9KCに切り替えることで生産を自動化することが可能です。配線工数の削減や配線ミスの排除など生産性を大幅に向上させることができ、コスト削減が可能となります。

・温度シミュレーションデータはこちら

形G9KCの概略仕様

項 目 仕 様 備 考
接点構成 4a, 4a1b 補助接点: IEC60947-4-1
ミラーコンタクト構造準拠
接点定格 AC480V 40A/AC277V 32A 主接点
接触抵抗 6mΩ 以下 主接点、初期値(23℃)
接点間隔 3.6mm 以上 主接点、EV充電器規格
IEC61851-1他に準拠
電気的耐久性 AC277V 32A 50,000回
AC480V 40A 30,000回
主接点
開閉ひん度 1秒ON-9秒OFF
外形寸法 W35mm x L58mm x H47mm 平均寸法
端子形状 PCB用端子
認証規格 UL/C-UL、EN/IEC、CQC

・詳細は、最新の形G9KC データシートをご覧ください。

他のアプリケーションへの応用について

パワーリレー 形G9KCは、EV交流充電器以外にも、さまざまな機器の入出力開閉などにご活用いただけます。

PVインバータ

産業用インバータ

無停電電源装置

蓄電システム

DC急速充電器

*エネルギー関連機器向けの応用については、エネルギー市場向けソリューションをご覧ください。

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形G9KCの詳細情報(市場動向・アプリケーション・特長や仕様・使い方・実力データなど)を閲覧できます。設計ご検討の際の情報としてご活用ください。

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