リレーの基礎知識

リレーとは(種類、構造・部品、使い方を解説)

リレーとは外部から電気信号を受け取り、
電気回路のオン/オフや切り替えを行う部品です。
ここでは、リレーの概要、種類、規格などを説明します。

(会員専用)ゼロから学べるリレーの基礎知識。リレーとは? / 技術 / 使用 / 規格まで1冊にまとめました。PDFダウンロード

リレーとは

リレー(継電器)とは、外部からの電気信号を受けて内部にある開閉素子(接点など)を動作させ、電気回路をオン/オフしたり切り替えたりする部品です。バトンを渡しながら走る陸上競技の「リレー」に例えると、バトン(電気信号)を受け取って回路をオン/オフすることで次の機器に信号を中継する働きをする部品と言えます。

リレーの働きをテレビで考えてみます。リモコンのスイッチを押すと、テレビの中では、リモコンから受け取った信号はリレーに送られ、リレーが電源回路を制御する(オンにする)ことによって、テレビの電源が入るのです。

リレーとは

種類と分類

リレーは、制御できる回路の負荷の大きさ、リレーの構造、開閉素子のタイプ、制御できる回路の数など、用途によって多くの種類があります。

有接点リレーと無接点リレー

有接点リレー(メカニカルリレー)と無接点リレー(MOS FETリレー、SSR:ソリッドステート・リレー)の2つに分類できます。

有接点リレー

内部にある機械的な接点(スイッチ)を、コイルの電磁作用によって動かすことによって、信号や電流・電圧をオン/オフするリレーです。高耐圧、回路をオフにしたときの漏れ電流がないといった特長があります。

無接点リレー

機械的な接点を持たず、トライアックやMOS FETなどで構成する回路の電子的な働きによって、信号や電流・電圧のオン/オフを行うリレーです。「半導体リレー」「SSR(Solid State Relay)とも呼ばれます。物理的な可動部がなく長寿命、高速かつ無音でオン/オフが可能、高信頼性といった特長があります。

有接点リレーの種類

有接点リレーで重要なのが接点の種類です。

a接点

a接点

a接点は、コイルに電気が流れていないとき(通常時)にオフで、信号が来てコイルに電気が流れるとオンになります。「メーク接点」「常開形」「N.O.(ノーマリーオープン)」とも呼ばれます。

b接点

b接点

b接点はa接点の逆で、コイルに電気が流れていないとき(通常時)にオンで、信号が来てコイルに電気が流れるとオフになります。「ブレイク接点」「常閉形」「N.C.(ノーマリークローズ)」とも呼ばれます。

c接点(トランスファ接点)

c接点

c接点はa接点とb接点を組み合わせた接点で、コイルに電気が流れていないとき(通常時)はa接点がオフでb接点がオン、コイルに電気が流れるとa接点がオンでb接点がオフになります。信号によって(コイルに電気が流れることで)a接点とb接点のオン/オフが互いに逆に切り替わります。「トランスファ接点」「双投形」とも呼ばれます。

無接点リレーの種類

無接点リレーは機械的接点の代わりに電子回路(スイッチング回路)を使いますが、スイッチング回路を構成する電子部品の違いによって分けられます。

サイリスタやトライアックによる構成

AC制御用の電子部品であるサイリスタやトライアックを開閉素子に使う無接点リレー(SSR)です。信号伝達にはフォトトライアックカプラが多く使われます。

MOS FETによる構成

複数のMOS FETを組み合わせた回路を開閉素子として使うリレーです。ACだけでなくDCの制御も可能で、信号伝達にはフォトトライアックカプラが使われます。

構造と原理

有接点リレー(メカニカルリレー)の基本的な構成は、電気信号を機械的に動きに変換するコイル部と、コイル部の動きによって開閉(オン/オフ)する接点部(スイッチ)から成ります。

リレーの構造と原理

無接点リレー(MOS FETリレー)は、LED、PDA(Photo Diode Array)、MOS FETから構成されています。

保護構造

リレーは使用環境に応じて保護構造(ケースなど)に違いがあります。

  • 耐フラックス形:はんだ付け時にリレー内部にフラックスが侵入しにくい
  • プラスチックシール形:はんだ付け時のフラックス、洗浄時の洗浄液が浸入しにくい
  • 閉鎖形:異物からの保護
  • プラスチックシール形:腐食性雰囲気の影響を受けにくい
  • ハーメチックシール形プラグインリレー:リレー内部に腐食性ガスが侵入せず、また外側も腐食に耐えるように金属やガラスなどでシールされた密封構造

特長と動き

有接点リレーの最大の特徴は、コイル部と接点部が物理的に離れているため、入力側と出力側の絶縁性が高いことです。このほか、電気的ノイズに強い、オフのときの漏れ電流がない、オンにしたときの抵抗がほとんどない、といった長所があります。短所としては、機械的接点のため接触不要の可能性があること、(無接点リレーと比べ)寿命が短いこと、動作音がすること、超高速動作はできないことなどがあります。

無接点リレー(MOS FETリレー)の最大の特徴は、機械的な駆動部がないことです。このため、静音、長寿命、制御するための電力が少ない、高速応答性といった長所があります。

構成部品

リレーを構成する主要な部品について解説します。

コイル

コイルは、磁気回路と機能によって分類できます。

磁気回路による分類

1)無極:コイル操作に極性なし
2)有極:コイル操作に極性あり

機能による分類

1)シングル・ステイブル形:入力信号が入っているときだけ接点がオン(またはオフ)になる
2)ラッチング(キープ)形:入力信号が入ったときに接点がオン(またはオフ)になり、入力信号がなくなってもその状態を保持する

スイッチ(接点)

機能による分類

1)a接点(メーク接点):入力信号によってオンになる
2)b接点(ブレイク接点):入力信号によってオフになる
3)c接点(トランスファ接点):a接点とb接点を組み合わせ、入力信号によってそれぞれオン/オフが逆に動作する

接点形状による分類

1)シングル接点:1つの端子に1つの接点
2)ツイン接点:1つの端子に2つの接点
3)クロスバーツイン接点:可動接点/固定接点をクロス状に接触させる
接触信頼性は、クロスバーツイン接点が最も高く、ツイン接点、シングル接点の順となります。

端子

リレーの端子形状には以下のような種類があります。

  • プラグイン端子タイプ(ソケットタイプ)
  • プリント基板タイプ(スルーホール/表面実装)
  • ねじ端子タイプ
  • サーフェスマウントタイプ
  • タブ端子タイプ

回路

回路図の書き方

リレーを含む回路を図に書く場合、目的や用途に応じていくつかの種類があります。

  • シーケンス図:リレー回路の動作を説明する目的で使われ、動作の内容を分かりやすく書いたもの
  • フローチャート:シーケンス制御系においてリレーや多くの機器を組み合わせた複雑な回路を構成しているような場合に、関連する動作をフローチャートにしたもの
  • タイムチャート:シーケンス制御系における動作順序による時間的変化を分かりやすく示したもの

記号の種類

有接点リレーの記号

有接点リレーの記号

無接点リレー(SSR)の記号

無接点リレーの記号

使い方

リレーを使用する際は、定格に注意することが重要です。適切な仕様の製品を選ばなければ、本来の性能が得られないだけでなく、リレーの破損や焼損につながります。

コイル部の仕様

AC100Vの例

定格の呼称* 適用電源(定格電圧・定格周波数) 商品マーキングでの表現 カタログでの表現
1定格 AC 100V 60Hz 100VAC 60Hz AC 100V 60Hz
2定格 AC 100V 50Hz、AC 100V 60Hz 100VAC AC 100V
3定格 AC 100V 50Hz、AC 100V 60Hz
AC 110V 60Hz
100/110VAC 60Hz、100VAC 50Hz
または 100/(110)VAC
AC 100 / (110) V
4定格 AC 100V 50Hz、AC 100V 60Hz
AC 110V 50Hz、AC 110V 60Hz
100 / 110VAC AC 100 / 110V

*Note: この呼称はJISなどで定められた呼称ではありません。

接点部の仕様

接点部の仕様

規格

リレーには事故防止のための最低基準となる安全規格があります。さまざまな国や地域によって、電圧事情や気候条件、安全に対する考え方は異なるため、それぞれの国や地域で規格が定められています。主な安全規格としては以下があります。

  • IEC:国際規格
  • UL:アメリカの規格(ANSI規格)
  • CSA:カナダによる規格(CSA規格)
  • VDE(TUV):欧州/国際規格(EN/IEC規格)
  • CCC、CQC:中国の規格(中国国家標準GB規格)

用語解説

オムロンの製品ラインアップ

その他の関連コンテンツ