反射形センサを使用する場合、アプリケーション上のさまざまな要因が光センサの物体検出に影響します。
特に、黒い物体、光沢物体や透明体などは、従来の光センサでは安定検出が難しいとされています。オムロンの限定反射形/拡散反射形センサ(形B5Wシリーズ)は、このような物体の安定検出を可能にすることで、お客様の課題を解決します。
ここでは、お客様のアプリケーションに応じた光センサの選び方とそのセンサ性能を正しく引き出していただくために、形B5Wシリーズの種類と特長についてわかりやすく説明しています。さらに、分析機器、分包機、衛生機器、部品の搬送機器、無人搬送機(AGV)など、設計のヒントとなる具体的なアプリケーション事例を用いて、お客様の課題・要望に対する解決例を詳しく解説しています。
光センサを使って、安定して物体検出するには?
さまざまな機器・装置において、光センサを使って各種物体を安定して検出するためには、
- 光センサの種類、その検出原理や特長を理解した上で、
- アプリケーションに応じた最適な光センサの選定し、
- それらの性能を引き出せるように正しく設置・使用する
ことが必要です。
特に、反射形センサを使用する場合は、検出物体の形状、サイズや色、表面状態、および検出距離、さらに外乱光などの周囲環境など、
アプリケーション上のさまざまな要因が物体検出に影響します。一般的に反射形光センサでは、
①黒色などの低反射率物体、②鏡などの光沢物体、③ガラスなどの透明体
を安定して検出することは難しいとされています。
「安定した物体検出」とは、センサが受光する光量に関係するさまざまな要因が機器設計上の想定範囲内で変動しても、センサが誤動作することなく、確実に物体検出できている状態を意味します。すなわち、変動要因に対して、十分なマージンがとれるようなセンサが選定されているか、正しく使用されているかが重要となります。長期間の「安定検出」は、結果的に機器・装置の信頼性向上につながります。
オムロンの反射形センサで安定検出!
限定反射形センサと拡散反射形センサの二つの選択肢
オムロンの機器内蔵用の反射形センサ 形B5Wシリーズは、フォト・マイクロセンサに、光学レンズ、LEDパルス(変調光)駆動、さらに、外乱光を受けにくい回路を搭載した小型の高機能光センサです。従来、フォト・マイクロセンサ(フォトインタラプタ)では安定検出が難しかった物体や長距離での検出が可能となり、さまざまな用途に使用されています。
オムロンの反射形センサは、鏡面・黒・透明体など、検出物体の色や材質の影響を受けにくい限定反射形センサ、および、長距離検出が可能な拡散反射形センサの2種類をご用意しています。
1. 限定反射形センサ: 形B5W-LB シリーズ
色や材質の影響を受けにくい限定反射形センサ鏡面・黒・透明体も見逃さない
2. 拡散反射形センサ: 形B5W-DB シリーズ
550mmの長距離検出が可能な超小型拡散反射形センサ
限定反射形センサと拡散反射形センサとの違いは?
反射形センサには、一般的に拡散反射形と限定反射形の二種類があります。拡散反射形センサは、投光ビームと受光路を平行に設置するのに対し、限定反射形センサは、狙った検出エリアに光路を向けて設置し、検出物体表面の正反射光を取り込む光学設計を施しています。
下図の検出距離特性図に示されるように、光学レンズ設計によって、拡散反射形センサは遠くの物体が検出可能となり、限定反射形センサは低反射率物体や光沢物体でも検出可能となり、その検出エリアは限定的で検出物体の背後に検出したくない物体(背景)がある場合などに効果的です。
拡散反射形センサ
検出エリアが非限定的
限定反射形センサ
検出エリアが限定的
1.限定反射形センサ:形B5W-LBシリーズの特長
オムロンの機器内蔵用限定反射形センサ 形B5W-LBシリーズは、3つの価値をお客様に提供します。
- 独自光学設計*でさまざまなワークを安定検出できるため、機器の信頼性向上に貢献します。
- 検出範囲が広いため、ワークの位置ズレに強く、機器の構造設計自由度が向上します。
- 動作表示灯付き、電源電圧など、豊富なラインアップにより、様々な機器へ組込みが可能です。
*特許取得済
1) 様々なワークを安定検出 (色のロバスト性)
限定反射形センサ 形B5W-LBシリーズは、その光学特性により、鏡面・黒や透明体など、従来の反射形光センサでは検出が難しかったワークを安定検出できます。 そのため、機器の信頼性向上に貢献します。
従来の課題
従来の光センサでは、鏡面・黒・透明物体などの検出が不安定なため、機器の動作不良や装置のチョコ停などが発生することがありました。
解決!
オムロンの限定反射形センサなら、さまざまなワークの安定検出が可能となり、機器の信頼性向上に貢献します。
光学シミュレーションを活用したレンズ設計により、色と距離のロバスト性を両立!
黒色・透明体は反射光量が少ないので、検出が不安定でした。
4種類のトロイダルレンズを組み合わせたオムロン独自*の構造により、わずかな光でも安定検出が可能に。
*特許取得済
2) ワークの位置ズレに強い(距離のロバスト性)
限定反射形センサ 形B5W-LBシリーズは、様々なワークに対して検出範囲が広くなるよう光学設計されているため、ワークの位置がズレても安定検出できます。よって、機器の構造設計自由度が向上します。
従来の課題
従来の光センサでは、黒色や透明体は検出可能な距離範囲が狭く、ワークが位置ズレしないような機器の構造設計が必要でした。
解決!
オムロンの限定反射形センサなら、ワークの位置ズレでも安定検出。機器の構造設計自由度が向上します。
さまざまな色のワークを広い検出範囲で検出可能
また、限定反射形センサ 形B5W-LBシリーズは、背景に影響されず、検出したい物体を確実に検出します。よって、センサ設置場所の自由度が向上し、機器の小型化にも貢献します。
従来の課題
従来の光センサでは、
①白いワークに検出距離を合わせると黒い物体が検出できませんでした。
②黒いワークに検出距離を合わせると、白い背景を検出してしまいました。
解決!
オムロンの限定反射形センサなら、
ワークの色や背景に関わらず、ワークを検出できます。
機器の構造設計自由度が向上し、機器の小型化にも貢献します。
限定反射形センサの光学特性
投光ビーム(右図赤線部分) と受光エリア(青線部分)を狙った検出エリアに向けて設置し、検出物体からの正反射光成分を取り込む光学設計を施しています。
よって、センサから一定の距離にある物体だけを検出し、背景物体は検出しません。
3) 豊富なラインアップ
限定反射形センサ 形B5W-LBシリーズは、検出距離・サイズだけでなく、表示灯付き、電源電圧など幅広いラインアップにより、様々な業務用機器・装置への組み込みが可能です。
従来の課題
機器内蔵用フォト・マイクロセンサでは、
①動作表示灯が無いため、ワークの位置調整がしずらい。
②業務用機器などの一般的な電源電:24Vではそのまま使えない。などの課題がありました。
解決!
オムロンの限定反射形センサなら、豊富な幅広いラインアップで、各種業務用機器・装置に組み込み可能。
* 詳しくは、形B5W-LB ユーザーズマニュアル会員専用をご参照ください。
2.拡散反射形センサ:形B5W-DBシリーズの特長
オムロンの機器内蔵用拡散反射形センサ形B5W-DBシリーズは、以下の特長を備えています。
1) 長距離検出が可能なため、機器から離れた物体を検出できます。
*アプリケーション事例の詳細は、機器名をクリックしてください。
機器の設置場所により、背景物体など検出したくない物体がある場合は、検出距離可変タイプ形B5W-DB11A1ーAもご用意しています。
2) 外乱光の影響を受けにくい設計が施されています。
*センサの受光面は外部からの直接光が当たらないように工夫し、実際の環境で外乱光による誤動作がないことを確認の上、ご使用ください。
3) 機器組み込みが容易な超小型、シンプル形状、かつ4方向からのネジ取り付け可能であるため、機器の構造設計自由度が向上します。
オムロンの機器内蔵用の反射形センサ 形B5Wシリーズを効果的にご活用いただくために、設計のヒントとなる具体的なアプリケーション事例を用いて、お客様の課題・要望とその解決例について詳しく解説します。
アプリケーション事例集1 ー限定反射形センサの活用ー
透明体検出など
光沢面検出など
コーヒーかす検出
各種カップ検出
タッチレス スイッチ
(指の検知)
カップ取り出しドアの開閉検知
カップの有無検知
タッチレス スイッチ
(手の検知)
タッチレス スイッチ
(手の検知)
各種包装フィルムの有無検知
各種印刷用紙の有無検知
各種トレーやテープの有無検知
タッチレス スイッチ
(手の検知)
各種トレーの有無検知
カセットの通過検知
アプリケーション事例集2 ー拡散反射形センサの活用ー
タッチレス スイッチ
(手の検知)
障害物の検知