「急速充電器」にこそ使ってほしい:大電流高電圧、低発熱、安全性能。おすすめの高容量リレーをご紹介します!

制作年月:2025年2月

EV充電器の種類

電気自動車(EV)の普及に伴い、充電インフラとして家庭や街中など様々な場所でEV充電器の設置が増えています。EVの充電方法には、主にAC(交流)充電とDC(直流)充電の2種類があり、Mode 1~3が交流(AC)充電(普通充電)、Mode 4が直流(DC)充電(急速充電)です。Mode 3は主に自宅や商業施設の壁に設置され、Mode 4は商業施設のほか、高速道路のサービスエリアや公共施設などに設置されます。

Mode1〜3:(AC)普通充電器。自宅のコンセント100V / 200V。AC充電、6kW~22kW、構造がシンプル。OBC(オンボードチャージャ)-->BMS(バッテリマネジメントシステム)車載電池 Mode4:(DC)急速充電器。AC-->DC変換。DC充電、数十kW~数百kW、AC/DC変換器など構造部品が多い。OBC(オンボードチャージャ)-->BMS(バッテリマネジメントシステム)

Mode 1~3は、交流(AC)によりEVの充電を行う充電方式です。しかしバッテリは直流(DC)のため、交流(AC)から直流(DC)に変換して充電を行う必要があります。電気自動車(EV)にはACDCに変換して充電を行う回路(オンボードチャージャ:OBC)が搭載されており、交流が入力されてもEVのバッテリに充電することが可能です。一般家庭に来ている電力以上の充電はできないため、EVバッテリの満充電までには時間がかかります。
また、基本的に充電器1台に対して1口の充電口となります。

Mode 4(急速充電器)

Mode 4は、直流(DC)によりEVの充電を行う方式です。一般的に急速充電器とも呼ばれ、大きな電力を取り扱うため商業施設や、公共施設に設置されます。受電したAC電力をDC電力へ充電器内の回路で変換し、直接車載電池に電力を送ります。数十kW~数百kWという大電力で充電することが可能です。しかし、AC-DCのように電気を変換する回路では変換損失が発生し、また通電による損失も発生するため、抵抗が低い部品が求められます。公共エリアに設置されるタイプは、充電器1台に対して複数の充電口を有している製品もあります。

比較的シンプルな構造のMode 3に比べて、変換器を含む複雑な構造のMode 4には、各部位によって求められるリレーの仕様も数も異なります。このランディングページでは、急速充電器回路の各部位ごとの特長と、それらに適したリレーについて説明します。

急速充電器(Mode 4)におすすめのリレーラインアップ

高速道路のサービスエリアなど、短時間での充電が求められる場所には、直流急速充電器のMode 4が設置されます。この直流急速充電器に求められる高出力・低損失(発熱)・異常検出機能(補助接点)などを有したオムロンのリレーをご紹介します。

01.整流回路:交流(AC)電圧を直流(DC)電圧に変換するための回路、02.直流/直流変圧回路:入力された直流電圧を必要な出力電圧に調整するための回路、03.出力切替回路:複数の入力と出力を接続し、特定の入力を指定した出力に割り当てるための回路。突入電流防止回路:電源が投入されたときに発生する突入電流を制限するための回路

01.整流回路

整流回路 1次側の電力系統と整流器の2次側の絶縁を確保するため、また、緊急時の電源入力遮断を目的に、スイッチングデバイスが使用されます。入力される電力が3相であるため、3極や4極の同時開閉が必要となり、多極リレーや複数の単極リレーが使用されます。

注.上図の電流・電圧値は定格を記載しております。

突入電流防止回路 整流回路のAC側に必要とされる安全遮断部には、突入電流防止回路が並列に接続されることがあります。突入電流防止回路には、系統電圧に適合する電圧定格を持っている(系統電圧 200V/400V/690V)数十Aの投入・通電が可能なリレーが推奨されます。

整流回路 におすすめの低発熱&高電圧・大電流遮断リレー

最大通電電流 定格電圧 補助接点 取付方法 極数/ラッチング サイズ(mm) 重量(g)
G9KA-E 300A AC1000V - PCB実装 1極 51x56.7x54.5 約235
G9KA 260A AC800V - PCB実装 1極 51x51x47.2 約220
G7EB-E2 150A AC800V - PCB実装 1極 50.5x37x40.5 約100
G7EB-E 120A AC800V - PCB実装 1極 50.5x37x40.5 約100
Coming Soon
G9TB
120A AC276V - 溶接
ねじ止め
PCB実装(開発中)
1極
ラッチング
43.5 x 22.5 x 37.5
(端子部除く)
約70
G7EB 100A AC800V - PCB実装 1極 50.5x37x40.5 約100
Coming Soon
G9TA
60A AC250V - 溶接
ねじ止め
PCB実装
1極
ラッチング
39.1 x 18 x 34.5
(端子部除く)
約42
G6QG 55A AC480V - PCB実装 1極 30.5x16x20.5 約18
G9KC 40A AC480V PCB実装 4極 35.5 x 50.5 x 47.5 約220
G6QE 36A AC480V - PCB実装 1極 30.5 x 16 x 20.5 約17
G7L 30A AC220V - タブ端子接続
ねじ止め
PCB実装
1極
2極
52.5 x 35.5 x 41
(PCB実装)
約90~120

整流回路の 突入電流防止回路 におすすめのリレー

最大投入電流 定格電圧 補助接点 取付方法 極数 サイズ(mm) 重量(g)
G7EB 100A AC800V - PCB実装 1極 50.5x37x40.5 約100
Coming Soon
G9TA
60A AC250V - PCB実装 1極 39.1 x 18 x 34.5
(端子部除く)
約42
G6QG 55A AC480V - PCB実装 1極 30.5x16x20.5 約18
G9KC 40A AC480V PCB実装 4極 35.5 x 50.5 x 47.5 約220
G6QE 36A AC480V - PCB実装 1極 30.5 x 16 x 20.5 約17
G7L 30A AC220V - 溶接
ねじ止め
PCB実装
1極
2極
52.5 x 35.5 x 41
(PCB実装)
約90~120

注.上記仕様は、2025年1月時点の情報です。詳細は各製品のデータシートを必ずご確認ください。
※サイズは縦x横x高さの順で記載しております。

02.直流/直流変圧回路

直流/直流変圧回路 充電制御回路に異常が発生した際の安全確保を目的に、直流/直流変圧回路内にスイッチングデバイスが用いられることがあります。EVバッテリの高電圧化に伴い、高電圧(~DC1500V)の開閉が可能なリレーが求められます。また、充電器の冗長性を高めるため、複数台の直流/直流変圧回路を並列にして構成されることが多くなってきました。各変圧回路には、上記同様にリレーの設置が必要とされます。

注.上図の電流・電圧値は定格を記載しております。

突入電流防止回路 このスイッチングデバイスには、突入電流防止回路が並列に接続されています。突入電流防止回路とは、電源投入時にコンデンサに充電されることによる大きな電流が原因で通電の電子部品が故障することを防ぐための回路です。電流制限抵抗とスイッチングデバイスが直列に接続される構成になっており、電源投入時の大きな電流を抑制します。突入電流防止回路に使用されるスイッチングデバイスには、数十Aの投入・通電が可能なリレーが推奨されます。

直流/直流変圧回路 におすすめの低発熱&高電圧・大電流遮断リレー

最大通電電流 定格電圧 補助接点 取付方法 極数 サイズ(mm) 重量(g)
G9EC-X1 200A DC1000V ねじ止め 1極 98 x 44 x 86.7 約650
G9EK-E 200A DC500V ねじ止め 1極 86 x 47.7 x 64.2 約310
G9EK 120A DC500V ねじ止め 1極 86 x 47.7 x 64.2 約310~340
G9KB-E 100A DC800V - PCB実装 1極 50.5x37x50.5 約110
G9KB 50A DC600V - PCB実装 1極 50.5x37x50.5 約110
G7L-X 35A DC1000V
(2極直列)
- PCB実装 2極 52.5 x 35.5 x 41 約100

直流/直流変圧回路の 突入電流防止回路

最大投入電流 定格電圧 取付方法 極数 サイズ(mm) 重量(g)
G7L-X 40A DC1000V
(2極直列)
PCB実装 2極 52.5 x 35.5 x 41 約100
G5PZ-X 20A DC400V
(2個直列)
PCB実装 1極 26.4x15.2x29.5 約15
G2RG-X 10A DC500V
(2極直列)
PCB実装 2極 29 x 23.5 x 29.5 約22
G9EJ-E 15A DC400V タブ端子接続
PCB実装
1極 31 x 27 x 32.2
(PCB実装)
約45

注.上記仕様は、2025年1月時点の情報です。詳細は各製品のデータシートを必ずご確認ください。
※サイズは縦x横x高さの順で記載しております。

03.出力切替回路

出力切替回路 高速道路のサービスエリアやコンビニなど、公共エリアに設置されることの多い急速充電器では、充電器1台で複数車の充電を行うことが可能な充電器が多く設置されます。
そのため、車1台を充電する場合や、複数台を充電する場合など、充電状況に応じて充電出力(電力)をコントロールすることが求められます。また、DC/DCコンバータ故障時の充電能力確保のため、出力切替回路を利用して充電動作を再開できるように切り替えることが可能です。
出力切替回路部では、原則開閉は無負荷(0A)で行われるため、DCではなくACリレーも使用可能です。員数が多いため、価格が比較的高いDCリレーやコンタクタよりも、小型軽量で低価格なACリレーが使用されるケースが増えています。また、基板化することで、組立・接続工数を大幅に低減することが可能です。
さらに、安全規格により、出力切替回路を構成するスイッチングデバイスには、接点状態を監視する機能を付与することが規定されています。このことから、当該部位には補助接点付きのリレーが望まれることがあります。

注.上図の電流・電圧値は定格を記載しております。

出力切替回路 におすすめの低発熱&高電圧・大電流遮断リレー

最大通電電流 直流(DC)遮断電流 定格電圧 取付方法 極数/
ラッチ
サイズ(mm) 重量(g)
G9KA-E 300A 無負荷開閉限定 AC1000V PCB実装 1極 51x56.7x54.5 約235
G9KA 260A 200A at 60V AC800V PCB実装 1極 51x51x47.2 約220
G9EK-E 200A 200A at 500V DC500V ねじ止め 1極 47.7 x 86 x 64.2 約310
G9EC-X1 200A 150A at 1000V DC1000V ねじ止め 1極 44 x 98 x 86.7 約650
G7EB-E2 150A 150A at 60V AC800V PCB実装 1極 50.5 x 37 x 40.5 約100
G9EK 120A 120A at 500V DC500V ねじ止め 1極 47.7 x 86 x 64.2 約310~340
G7EB-E 120A 100A at 60V AC800V PCB実装 1極 50.5 x 37 x 40.5 約100
Coming Soon
G9TB
120A 無負荷開閉限定 AC276V 溶接
ねじ止め
PCB実装(開発中)
1極
ラッチ
43.5 x 22.5 x 37.5 約70
G9KB-E 100A 100A at 600V DC800V PCB実装 1極 50.5x37x50.5 約110
G7EB 100A 100A at 60V AC800V PCB実装 1極 50.5x37x40.5 約100
G6QG 55A 無負荷開閉限定 AC480V PCB実装 1極 30.5x16x20.5 約18

注.上記仕様は、2025年1月時点の情報です。詳細は各製品のデータシートを必ずご確認ください。
※サイズは縦x横x高さの順で記載しております。

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