開発者インタビューeスポーツ用キーボードスイッチ 形B3KL編

本ページでは、この商品の開発にどのような思いが込められているか、eスポーツ用キーボードスイッチ「形B3KL」の開発者である事業統括本部 商品開発統括部 ファインメカ開発部 瀨戸純一にインタビューします。

 

eスポーツ用ノートパソコンに搭載されたオムロンのスイッチは、どのようなものでしょうか?

従来のノートパソコン用のキーボードではメンブレンスイッチ(電極シート1枚でキーボードの全キーボタンの接点部を構成するもの)を採用している会社がほとんどですが、オムロンではノートパソコン用の分野で形B3KLのメカニカルキーボードスイッチ(スイッチ一つひとつに接点部が構成されているもの)を採用しました。
*全てのノートパソコンが対象ではありません。

メンブレスイッチとメカニカルキーボードスイッチの比較図

従来のメンブレンスイッチと今回のメカニカルキーボードスイッチの比較図

オムロン㈱事業統括本部 商品開発統括部 ファインメカ開発部 瀨戸純一写真

オムロン株式会社エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネスカンパニー
事業統括本部 商品開発統括部 ファインメカ開発部 瀨戸純一

(所属部署は開発当時のものです)

eスポーツ用ノートパソコンに搭載されたスイッチの構造について教えてください。通常のノートパソコンのキーボードとどう違うのでしょうか?

ゲーマーの方たちはよくキーボードを半分押した状態で待機します。それをノートパソコンでも実現できるように、タイピング感のあるメカニカルキーボードスイッチを開発しました。一般的にメンブレンスイッチでは感触生成部分がゴムで構成されていますが、メカニカルキーボードスイッチにより、ゴムでは実現できないFSカーブ波形を作り、カチッと切れ味ある感触を実現しました。

FSカーブ波形の説明図​​

FSカーブ波形の説明図

感触以外の特長を教えてください。

中央照光の説明図

中央照光の説明図

大きく2つあります。1つは「中央照光」で文字盤が光るところです。光設計の部門に協力を要請し、渦巻くように光学設計を工夫しました。1つのスイッチ上で、ピカッと光るのではなく、均一にホワッと光る仕様です。

リンク部材の構造図

リンク部材の構造図

もう1つは、「リンク部材」の設計です。例えばキーの端を押しても、まっすぐ確実に押下できます。これは特許(特許第6702239号)も取得しています。

量産化に対して苦労されたようですが、具体的に教えてください。

主に2点あります。
1点目は、量産試作で、切れ味のある触感が再現できなかったことです。
原因は組立途中のプレス部品の塑性変形が、原因でした。組立後の外観寸法測定では変形有無が判断できず、原因特定が困難でした。
2点目は、検査時の力で検査後に、圧入していた端子が浮いてしまったことです。しかも、ライン工程検査による初期特性検査では、検出できないものでした。
そこで、製造・生産技術部門と連携して検査方法を工夫しました。具体的には端子の挟み方を変えるために、形B3KL専用治具を作製しました。製造・生産技術部門メンバが持つ、従来機種(形B3K)の生産技術の知見を活用し、これらの困難を乗り越えました

最後に、eスポーツ用キーボードスイッチの今後について教えていただけないでしょうか?

まだ、形B3KLはクリック感のあるタイプしかバリエーションがありません。今後は静音タイプ・低背タイプなど、様々なゲーマーのニーズに合わせたバリエーションを揃えていきたいです。設計や製造の標準化を進めることで、今後予定している多様なバリエーションを、全て同じラインで製造可能と考えています。

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