オムロンのEFCプロセス技術(電鋳微細加工技術)
オムロンのEFCプロセス技術は、電鋳微細加工技術の1種です。従来のプレス加工などでは困難だった高精度で複雑な形状加工を極小サイズで再現することが可能です。
リソグラフィーを用いた型作りによってサブミクロンレベルまで再現度高く、正確に製作することが出来ます。


通常、プレス加工、エッチング加工、ワイヤーカット加工では、加工断面が荒くなってしまい、滑らかな表面に仕上げることは困難です。検査ピンのRa(表面の粗さ)が高いと、検査ピンが製品を傷つけてしまい、接触不良や製品破損に繋がります。しかし、オムロンのEFCプロセス技術であれば、全面が 0.1μm以下の滑らかな部品を作り出すことが可能です。そのため、加工断面が原因で起こり得る製品の損傷や接触不良などを気にすることなく、安心してご使用いただけます。

板金加工において、加工限界に大きく影響する要素は、材料の板厚です。板幅は広くなっても問題はないのですが、金板の厚さは厚ければ厚いほど、曲げたりくり抜いたりが難しくなります。そのため、品質が安定せず、ばらつく可能性が高くなります。プレス加工やエッチング加工では、板幅≦板厚での加工は難しく、板厚:板幅=1:1での加工が限界とされていますが、電鋳加工では板厚:板幅=3:1までの厚さを出すことが可能です。
板幅が厚いと塑性変形によりバネが元に戻らなくなってしまうため、板幅は薄いほどバネ性が向上します。しかし、ピンが薄くなってしまうと、十分な荷重が確保できず、接圧が低くなるため、ピンの抵抗値が上がってしまいますし、大きな電流を流すことも困難になります。そのため、板厚を広げることで、十分なバネ性を担保しつつ荷重を高くするという両者の実現が可能になるのです。
オムロンのEFCプロセス技術は、極小のピンサイズでこの複雑な形状を再現しつつ、板幅の3倍もの板厚を実現することで、高性能な検査ピンをお客様に提供します。

プレス加工 | 電鋳加工 |
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パンチングなら板厚:板幅=1:1までが限界![]() |
板厚:板幅=3:1まで対応可能!![]() |
プレスで曲げると![]() |
![]() |

型に金属を析出させる製法のEFCプロセス技術は、プレスやエッチング、ワイヤー加工などでは困難な、ユニークな形状を作り出せることが強みの1つです。例えば、いくつものバネを連結させることににより、バネ性はしっかりと確保しつつ、大きな電流を流せる導通面積を作り出す多連バネ構造の実現も可能です。
このような独創的な設計によって、高性能な検査ピンを、お客様のアプリケーション1つ1つに合わせた形状で、お客様と一緒に作り上げていくことが可能です。
複雑な形状形成の多いEFCプロセス技術では、材料にもこだわっています。EFCプロセス技術だからこそ加工が可能な、高バネ性・高導電率・高硬度(長寿命)をすべて兼ね備えたオムロンオリジナルのニッケル系合金を使用しています。機械的特性はSUSと同等、電気的特性は銅合金と同等、そして硬度はベリリウム銅よりも高いスペックを有したピンの加工が可能です。
*特許第5077479号(P5077479)
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