オムロンのEFCプロセス技術(電鋳微細加工技術)

オムロンのEFCプロセス技術は、電鋳微細加工技術の1種です。従来のプレス加工などでは困難だった高精度で複雑な形状加工を極小サイズで再現することが可能です。
リソグラフィーを用いた型作りによってサブミクロンレベルまで再現度高く、正確に製作することが出来ます。

米粒/オムロンのプローブピン
型作り:電気の流れる部分と流れない部分で形成される型を作ります。=>電鋳:めっき液の中に型を入れて電気を流すことで、電気の流れる部分に金属が析出します。=>取りだし:金属が完全に生成されたら、型をめっき液から取り出します。=>離型:析出した金属を型から外します。

EFCプロセス技術だからこそ出来ること01:Ra(表面の粗さ) <0.1㎛レベルでの端面加工が可能

通常、プレス加工、エッチング加工、ワイヤーカット加工では、加工断面が荒くなってしまい、滑らかな表面に仕上げることは困難です。検査ピンのRa(表面の粗さ)が高いと、検査ピンが製品を傷つけてしまい、接触不良や製品破損に繋がります。しかし、オムロンのEFCプロセス技術であれば、全面が 0.1μm以下の滑らかな部品を作り出すことが可能です。そのため、加工断面が原因で起こり得る製品の損傷や接触不良などを気にすることなく、安心してご使用いただけます。

{電鋳加工(すべての面で滑らかな表面)}{プレス加工(破断/バリ)}{エッチング加工(不要なサイドエッジ)}{ワイヤーカット(Ra: 3~10μm 4回目のカット時)}

EFCプロセス技術だからこそ出来ること02:高アスペクト比での加工により、今まで実現困難だったピン形状を再現

板金加工において、加工限界に大きく影響する要素は、材料の板厚です。板幅は広くなっても問題はないのですが、金板の厚さは厚ければ厚いほど、曲げたりくり抜いたりが難しくなります。そのため、品質が安定せず、ばらつく可能性が高くなります。プレス加工やエッチング加工では、板幅≦板厚での加工は難しく、板厚:板幅=1:1での加工が限界とされていますが、電鋳加工では板厚:板幅=3:1までの厚さを出すことが可能です。
板幅が厚いと塑性変形によりバネが元に戻らなくなってしまうため、板幅は薄いほどバネ性が向上します。しかし、ピンが薄くなってしまうと、十分な荷重が確保できず、接圧が低くなるため、ピンの抵抗値が上がってしまいますし、大きな電流を流すことも困難になります。そのため、板厚を広げることで、十分なバネ性を担保しつつ荷重を高くするという両者の実現が可能になるのです。
オムロンのEFCプロセス技術は、極小のピンサイズでこの複雑な形状を再現しつつ、板幅の3倍もの板厚を実現することで、高性能な検査ピンをお客様に提供します。

板厚:厚くすることで十分な荷重を担保。バネ幅(板幅):薄いほどバネ性が良くなる。
プレス加工 電鋳加工
パンチングなら板厚:板幅=1:1までが限界板幅1×板厚1=OK。板幅1×板厚1以上=NG(板厚が板幅より大きくなるとパンチングで金属をくり抜く時に金属がよれたり曲がったりする)。板幅>板厚=OK(板幅は比率の制限がないので、いくらでも厚くすることが可能)。 板厚:板幅=3:1まで対応可能!板幅1×板厚3=OK(型の中に金属を析出させる電鋳加工なら、型から外せる比率であれば問題なく成型可能)。板幅>板厚=OK(板幅は比率の制限がないので、いくらでも厚くすることが可能)。
プレスで曲げると板幅1×板厚1以下=OK。板幅1×板厚1以上=NG(分厚くなると曲げるのが難しい、割れてしまうこともある)。
板幅1×板厚3=OK(型に金属を析出させる電鋳加工なら形状に制限されることなく板幅以上の板厚での加工が可能)。

EFCプロセス技術だからこそ出来ること03:多連バネ構造でスリム&大電流なピン構造を実現

多連バネ構造

型に金属を析出させる製法のEFCプロセス技術は、プレスやエッチング、ワイヤー加工などでは困難な、ユニークな形状を作り出せることが強みの1つです。例えば、いくつものバネを連結させることににより、バネ性はしっかりと確保しつつ、大きな電流を流せる導通面積を作り出す多連バネ構造の実現も可能です。
このような独創的な設計によって、高性能な検査ピンを、お客様のアプリケーション1つ1つに合わせた形状で、お客様と一緒に作り上げていくことが可能です。

EFCプロセス技術だからこそ出来ること04:オムロンオリジナルの材料ブレンドで高いバネ性と伝導率、長寿命を実現

複雑な形状形成の多いEFCプロセス技術では、材料にもこだわっています。EFCプロセス技術だからこそ加工が可能な、高バネ性・高導電率・高硬度(長寿命)をすべて兼ね備えたオムロンオリジナルのニッケル系合金を使用しています。機械的特性はSUSと同等、電気的特性は銅合金と同等、そして硬度はベリリウム銅よりも高いスペックを有したピンの加工が可能です。

特許第5077479号(P5077479)

導電率(%IACS)/バネ性(弾性変形)(MPa)
高硬度(長寿命):通常のコンタクトピンの接点部に使用されているベリリウム銅よりも硬さに優れ、長寿命 / 高導電率:伝導率が高く、安心して導通検査が行える / 高バネ性:ピン品質の劣化に繋がる応力集中を回避したバネ性に優れた設計で、安定した検査特性に貢献

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