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IoTとは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」と訳されます。
これまで、パソコンやスマートフォンなどの通信機器を除くほとんどのモノは、インターネットに接続できませんでしたが、IoTの導入でさまざまなモノがインターネットに接続されるようになりました。
モノ同士がネット上で情報交換することで、機器を遠隔から操作したり、データを収集することができるようになりました。例えばその場に直接行かなくとも、外出先からエアコンの温度をコントロールしたり、建物内の異常を検知することが可能です。
データを収集するために様々なセンサが活躍します! 本記事では、IoTのセンサについてご紹介していきます。
1.IoTセンサには、どんな役割があるの?
『IoT』の進化がモノとインターネットをつなげ、今では家庭やオフィスビル、工場、さらには都市まで、ありとあらゆるものがネットワークにつながり、それぞれデータを収集し活用するようになりました。 今では「データは新しい石油」といわれるほど、重要性が高まっています。
IoT を活用したソリューションを構築する上で、重要な役割を担っているのがセンサです。 センサとは、外部の情報を検知して、ヒトや機械に判別できる信号に置き換える装置を言います。
センサによって、あらゆる場でデータが収集され、医療・介護、産業、物流、交通、農業、防災、観光や地域ビジネスなど、さまざまな領域に活用されています。
領域の拡大に伴い、センサもどんどん多種多様になり、そのニーズは日々拡大しています。
2.どこにどんなIoTセンサが使われている?
IoTで利用されるセンサには、熱や圧力といった物理的な変化を検出するものから、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚というヒトの五感を検知するものなど、さまざまな種類があります。
物理的な性質を検出するセンサ
温湿度センサ / 加速度センサ / ジャイロセンサ など
五感を検知するセンサ
サーミスタ / 音圧センサ / 臭気センサ / イメージセンサ など
インターフェース別に分類
センシングする対象により種類は多岐にわたりますが、インターフェース別に分類すると、次の3種類に大別できます。
拡張型センサ
USBのような標準的なインターフェースを持っていて、IoT機器やシングルボードコンピュータに直接接続することで、センサ機能を追加するタイプです。
USB接続の拡張型センサであればUSB端子から給電を受けられるので、シングルボードコンピュータのUSB端子に差し込んでデータを取得するプログラムを製作することで、センサーのデータが取り込めます。
また、シングルボードコンピュータ経由でインターネットへの接続ができるので、とても手軽にIoT機器を構築できます。
独立型センサ
インターフェース通信機能の主流はBluetooth ですが、なかには3Gや4G、LPWA の通信機能を持つものもあります。
圧倒的に数が多いBluetooth の独立型センサの場合、セントラル端末がセンサのデータを定期的に取得して、データを処理します。また、3G や4G、LPWA の通信機能を持つものであれば、クラウドシステムにデータを送信することで、データを処理するものもあります。
多くはボタン型電池を内蔵できるような仕組みを持っていて、電池から駆動給電を受けられる限り、データの取得ができるタイプです。また、取得したデータを送るために、通信機能を搭載しています。
組込型センサ
シングルボードコンピュータや電源駆動をする筐体上に搭載することを前提にしたセンサです。
プリント基板の上にセンサモジュールを構築しているので、最低でも電源供給の回路が必要になります。
ロボットやシングルボードコンピュータ内に組み込んでおき、稼働状況をモニタリングすることができます。
3.IoT の周辺デバイスといえるほど高機能化したセンサ
センサモジュールには高機能化が進んでいます。 例として、拡張型タイプに該当するオムロンのビルオートメーション向け画像型人感センサ「HVC-F ∗」をご紹介します。
ビルオートメーション向け画像型人感センサ「HVC-F」
「HVC-F (形B5Z)」は、7.2m 四方の空間内の人の数とそれぞれの位置情報を検出する、拡張型のセンサモジュールです。ここまで進化すると、センサモジュールというよりも、IoT の周辺デバイスといったほうが正しいかもしれません。
「HVC-F」は、情報の検出に内蔵のイメージセンサを用います。
イメージセンサは、入ってくる光の情報を画像データに変換するセンサです。その画像データを利用して、その場にいる不特定多数の人の数や場所を割り出しているというわけです。
ただし、そのときに用いられる画像データは一切残りません。同社独自の画像センシング技術を使ってセンサモジュール内で処理し、人の数と位置情報だけを返すようになっています。
従来、人の数とその位置情報の検出には、防犯カメラの動画をクラウドサーバーへリアルタイムで送り、クラウドサーバー上でAI を使って人数と場所を割り出すという作業が必要でした。しかし、この手法では動画データが残る可能性があり、個人情報の利用規定に反することになりかねません。
一方、「HVC-F」には画像データが残らないため、人数とその位置情報だけを検出したいのであれば、これを天井に取り付けるだけで十分です。
オフィスのエントランスや会議室、店舗のマーケティング調査などのように、どれだけの人がどこにいたかが重要で、個人を特定するような情報が不要な場合に適しています。
∗画像型人感センサ(HVC-F)のHVC はHuman Vision Components を表します。
4.IoTセンサが使われている身近な製品・サービス
現在、IoT 機器で利用されるセンサはさまざまな場所で導入されています。
実際にIoT センサを活用した事例をご紹介します。
事例紹介
ホームセキュリティサービス
外出先から自宅の様子を確認できるサービスです。
自宅に専用デバイスを設置し、スマートフォンに専用アプリをダウンロードするだけで、スマートフォンから自宅の様子を確認したり、家電を遠隔操作したりすることができるようになります。離れて暮らす高齢のご両親、自宅で留守番するお子様やペットの様子を、いつでもどこからでも確認することができます。
このようなホームセキュリティサービスでは、窓やドアの開閉を感知するセンサ、閉め忘れを確認するセンサ、室内の温度・湿度・照度を測定するセンサ、人やペットなどの動きを検知するセンサなど数多くのセンサーとネットワークカメラを使っています。
オフィス向けオンラインサポートサービス
オフィスに設置されているコピー機やレーザープリンタ、複合機などのOA 機器の稼働状態を、インターネットを介してリアルタイムにモニタリングするサービスです。
消耗品の残量や部品の交換時期などの情報をサポートセンターや販売店と共有することで、ユーザーが気づく前に故障やトナー切れなどを検知することができます。
その結果、適切な時期に適切なアフターサービスを提供することが可能となり、ユーザーにとってはコスト削減に、メーカーにとってはメンテナンスの効率化が図れます。
最近では、人感センサを搭載し、人が近づくと自動で起動するような複合機も登場しました。
ウェアラブルシステム
ウェアラブルシステムとは、着用するだけで姿勢や消費カロリー、心拍などのバイタルデータを計測できるシステムのことです。
インナーにセンサを埋め込んだり、ウェアラブル端末を取り付けたりしてデータを収集し、インターネットを介してクラウドに蓄積・分析する事で、いつでも身体の状態を確認することができます。
ウェアラブルシステムは、特に医療業界や建築業界、運輸・運送業界で着目されています。医療業界では、慢性の疾病を抱える患者や高齢者のヘルスチェック機能として期待されています。
一方、建築業界や運輸・運送業界では、真夏の工事現場における熱中症対策やドライバーの居眠り運転対策など、従業員の安全対策としての利用が高まっています。
見守りサービス
高齢者向けの見守りサービスです。
現在、認知症の方の徘徊が社会問題となっており、なかには予想以上に遠くまで移動してしまい、自宅に戻れなくなった例もあるほどです。 警察庁の「平成29 年における行方不明者の状況」によると、認知症による行方不明者は年々増加しており、平成28 年には15,000 人を超えました。
認知症による徘徊対策の基本は見守りです。しかし、終日つきっきりで見守るのは、介護者にかなりの負担を強いることになります。そこで、着目されるようになったのが、次のようなセンサを使用した商品による徘徊防止対策です。
- 出入り口に人感センサを設置する
- GPS 搭載の追跡装置を取り付ける
- 離れるとアラームが鳴る捜索装置を取り付ける
出入り口、例えば玄関や窓にセンサを設置すれば、見守り対象者が無断で出て行こうとすることにすぐに気づけます。どちらかといえば、自宅で認知症の方を介護しているご家庭向けの商品といえるでしょう。
GPS 搭載の追跡装置は見守り対象者に身につけてもらうIoT デバイスで、多くがスマートフォンで対象者の現在位置を把握できるようになっています。また、離れるとアラームが鳴る捜索装置は、見守り対象者が一定距離を離れると通知するという商品です。
これらの商品には、腕時計型や靴内蔵型など、身につけやすい商品も販売されています。これら徘徊防止商品は、認知症の方だけでなく、お子様の迷子防止としても有効です。
女性向けヘルスケアサービス
女性向けヘルスケアサービスとして多いのが、基礎体温のデータから月経日や排卵日を予測したり、不調を検知したときに通知したりするというサービスです。
なかには、電子婦人体温計をスマートフォンにかざすだけで、日々の基礎体温を記録してくれるサービスまであります。
このような女性向けヘルスケアサービスの多くは、体重計のデータを連動させることができるため、体の変化を見える化することができます。
電子体温計に使われるセンサはいろいろありますが、サーミスタが使われることが多いようです。
ハザード検知装置
地震の被害は、同じ地区、同じタイプの住居でも、建物の構造や地盤などによって異なります。一般的に、地震による家屋被害は、鉄筋構造物よりも木造建築のほうが、築浅よりも古い建物のほうが大きくなります。
建物が倒壊したのならば被災度は明らかですが、一見するとさほど被害がないように見えることもあります。ところが、実際には見えない部分が損壊し、危険な状態になっている場合があります。こうした判断は、通常、建築の専門家が家屋調査して判定しますが、被災地が広範囲に及んだ場合、その確認作業は時間がかかります。
この被災度判定を自動的に行うのがハザード検知装置です。
多くは、建物の揺れや被災度などをセンサで計測し、表示したり、アラームなどで警告したりします。被災度をすばやく確認することによって、ユーザーがそのまま自宅に住み続けることができるか、それとも避難場に避難したほうがいいのかの判断を手助けします。
5.まとめ
センサは、IoT を通じてすでに私たちの生活やビジネスのさまざまなシーンに深く浸透しています。今後も、社会のニーズに応じて、多種多様な分野で応用されていくことでしょう。
特に、人の手を介さずにモニタリングできることから、働き方改革の一翼を担うものと期待されています。自社のIoT ビジネスにセンサを活用してみることを検討してはいかがでしょうか。
オムロンでは各種センシング機能を手軽に評価出来るオープンプラットフォーム対応型 センサ評価ボード(形2JCIE-EV)を発売しています。
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