制御IC「W2RF018WF」ブラシレスDCモータ

制御IC用語集

データシートに記載の用語について確認できます。

五十音+英数字ボタン、検索窓で項目の絞り込みができます。

  • な行
  • ま行
  • 位置精度

    上記の「ずれ補正」時の目標座標に対する誤差の許容範囲です。
    例:目標座標:100で位置精度±1の場合、座標:99~101まではずれ補正が発生しません。

    本機能を使用する場合は、速度設定をRPM指定にすることを推奨します。DUTY指定では発振するおそれがあります。

    エラー

    本ICでは以下の5つがエラーとして認識されます。
    ①ロック検出エラー:モータロックを検出して、装置保護として動作命令を中断した場合。
    ②終端到達エラー:モータが設定された可動範囲以上に移動しようして、装置保護として動作命令を中断した場合。
    ③原点復帰エラー:原点復帰動作が失敗した場合。
    ④オーバーフローエラー:現在位置が正常に認識できていない場合。
    ⑤ずれ補正エラー:停止位置のずれが一定値以上に到達し、ずれ補正が不可能な場合。
    ※②、④は駆動装置の動作経路が直線型の場合のみ発生。

    エンコーダフィルタ

    チャタリングが発生するなどエンコーダ信号が安定しない場合にフィルタ周期を変更することでノイズの除去を行います。

    フィルタ周期(遅延時間)は、(設定値+1) ÷原発振周波数[MHz]×8 [μs]で算出できます。

    往復

    動作命令の指定位置に移動(往路)後、動作命令を受付けた位置に移動(復路)します。
    位置以外の動作条件(速度など)については往路、復路にて同じ条件となります。

    「繰返し」との組合せにより振動動作を行うことが可能です。

  • 回転型

    継続してモータ回転しても機械端に到達せず、元の位置に戻る駆動装置を指します。
    ループ座標を設定する必要があります。

    外部入力

    原点センサ以外のセンサ入力など、外部からの信号入力に使用できます。
    状態読出命令を使い読出すことができます。

    通知のみであり、モータの制御には影響ありません。

    開放

    通電停止時にモータを電源から切り離してモータを止める方法です。
    モータは惰性で回転したのちに止まります。

    基準速度

    RPM指定で動かす際に基準となる速度です。最大速度である、速度15指定時の回転速度となります。

    負荷解析により、機構毎に設定します。

    基準DUTY

    可動物を停止した位置で保持させるため、本ICは一定のDUTYを出力します。そのDUTY値は自動探索しますが、あらかじめ目安となるDUTY を設定することでよりスムーズに位置保持への移行が可能です。

    基準DUTY をDUTY 0%以外に設定した場合、正転と逆転のDUTY 比率を同じにするため、DUTY の使用可能範囲に制限がかかります。
    (例)基準DUTYを+25%に設定すると、DUTYは-50~+100%に制限されます。

    急加速

    早期に加速(動き出し)を行うには動作命令の急加速フラグをON にします。
    RPM指定のみ有効な機能です。

    DC モータではイナーシャが大きいほど速度切り換え(加減速)に時間がかかります。
    本IC では速度の切り換えの際に一時的に目標速度以上のDUTY を出力して早期に速度追従を行うことが可能です。

    繰返し

    1 つの動作命令を複数回実行する場合に使います。繰返す回数を1~255回設定することができます。

    繰返す回数の設定は繰返しを行う動作命令を送る前に行います。繰返し命令の実行中に繰返し回数レジスタの設定命令を送信すると、実行中の回数が上書きされます。待機バッファの命令を繰返し実行したい場合はご注意ください。

    現在座標更新

    現在いる位置の座標を任意の値に指定します。

    減速(機能)

    目標座標到達前に減速させることで、行き過ぎを抑制します。
    設定した減速座標、目標座標までの残り座標、現在速度から、減速開始座標を推測して減速します。

    減速を無効にすると、目標座標に達してからショートブレーキ、または開放により停止します。
    減速機能を使うには、駆動方式をRPM指定にする必要があります。

    減速座標

    「減速」を開始する座標を設定するための値です。
    減速開始座標=目標座標-減速座標 と計算されます。

    減速座標は負荷解析により、機構毎に設定します。減速座標が大きすぎると、目標座標手前で停止して再加速、減速座標が小さ過ぎると行き過ぎとなる可能性があります。

    原点復帰動作

    駆動装置の動作経路上に設置された原点センサを使用して、可動物の初期座標を設定する機能です。
    設定命令にて検出エッジ条件(立上りエッジor立下りエッジ位置で原点とする)、センサ位置での座標値の設定が可能です。

  • シフト命令

    実行バッファ内の動作命令を破棄します。これにより、実行中の命令は中断されます。

    動作命令破棄と同時に、待機バッファに格納された動作命令が実行されます。
    実行バッファ、待機バッファ内の動作命令をまとめて破棄したい場合は、シフト命令を2回実行してください。

    出力論理

    モータドライバICの入力部と接続する、本ICの出力端子OUT0~OUT 3について、モータドライバICの特性に合わせて、L アクティブ、H アクティブを設定できます。

    ショートブレーキ

    モータを開放時よりも早く停止させる方法です。通電停止時にモータのコイル間を短絡すると、回転時とは逆の電流がコイルに流れます。これが制動力となり、モータは早く停止します。

    ずれ補正

    目標座標とのずれを解消する様にモータを動作させる機能です。
    「位置精度」で設定した許容範囲を外れた時、目標座標に移動します。

    一定値以上(座標値+511/-511)に達した場合やずれの復帰ができなかった場合は、ずれ補正機能を無効化します。この場合、原点復帰動作、または現在座標の更新が必要です。

    正転、逆転の定義

    データシート(PDF)記載の図を参照ください。エンコーダ入力端子(ENC0~ENC2)への信号入力順序により、正転、逆転を判別します。

    本ICはモータの位置を座標値として管理し、正転では座標値が増加、逆転では座標値が減少します。
    実際にモータ軸が回転する方向は、動作命令の指示内容と接続するモータドライバICによって決まります。

    絶対座標指定モード

    動作命令にて、目標座標を指定するモードです。

    目標座標到達直後のモータ位置は目標座標と常に一致します。移動量は目標座標と動作命令開始時の座標との差により変化します。

    相対座標指定モード

    動作命令にて、移動量を指定するモードです。

    目標座標到達直後のモータ位置は移動前のモータ位置により変化します。モータの移動量は指定した移動量と常に一致します。

    速度取得周期

    モータの現在速度を制御ICが取得する周期です。RPM指定で動かす際に設定します。

    負荷解析により、機構毎に設定します。速度取得周期が短過ぎても、長過ぎても速度変化を正しく把握できず、結果として速度が不安定になる可能性があります。

    速度設定

    RPM指定:モータの動作速度、停止(速度0)、低速(速度1=基準速度×12.5%)~高速(速度15=基準速度×100%)の16 段階から選択します。
    DUTY指定:PWMのDUTYを、停止(速度0)、低速(速度1=DUTY12.5%)~高速(速度15=DUTY100%)の16 段階から選択します。

    動作速度が停止(速度0)を指定された動作命令は、実行時に即時完了します。

    上限/下限座標

    モータの可動範囲を設定する座標値です。
    上限座標:+(正転)側の可動範囲上限値です。
    下限座標:ー(逆転)側の可動範囲下限値です。

    モータの現在座標が設定した可動範囲外に移動しようとした場合にその動作命令を中断します。

    ずれ座標

    目標座標からのずれ量です。「ずれ座標=現在座標 -目標座標」 で計算します。

  • 直線型

    継続してモータ回転することにより機械端に到達する駆動装置を指します。

    経路が曲線であっても、機械端が存在する場合は直線型となります。

    通信モード

    本ICは、SP-D8 アドレス付シリアル通信、CE-D8 アドレス付シリアル通信の2種類の通信モードに対応しています。I2Cを使用される際は、マイコンと本ICの間に、通信変換IC W2RF027WNとの接続をご検討ください。

    停止抜け

    DC モータでは低速で動作する際に動摩擦と静止摩擦の差に起因して、動作、停止を繰返すスティックスリップと呼ばれる自励振動が発生します。
    本IC では停止を検出した際に動摩擦と静止摩擦の差を補填するDUTY を一時的に上乗せすることで、低速時の自励振動を目立たなくします。

    上乗せするDUTY は停止抜け設定にて設定します。

    ディレイ

    外部入力端子、原点センサ入力端子、エンコーダ入力端子にはノイズ対策のフィルタ機能が付加されています。このフィルタにより遅延が発生するため、「ディレイ」と表示しています。

    原発振周波数が4.096MHzの場合、外部入力端子、原点センサ入力端子の遅延時間は250μs以上です。また、エンコーダ入力端子の遅延時間は1.95μs以上ですが、変更することができます。「エンコーダフィルタ」の項目を参照ください。

    デバイスID

    本ICを識別するための文字配列です。本ICのデバイスIDは"1100"固定です。

    デバッグ用端子

    UART 通信にて内部のログを出力しています。これによりシリアル通信によるステータス読出しよりも細かい周期でのモニタが可能となります。

    専用のロガーケーブルとICのデバッグ用端子を接続し、USB経由でパソコンにCSV形式で取り込むことができます。

  • 分解能補正

    エンコーダ信号を間引くことで分解能を補正し、回転角の確保を行います。
    1plsでの移動範囲が広がり、実質的に移動出来る範囲を広げることが出来ます。

    エンコーダの分解能(回転角度の精度)が細かすぎて本IC の管理する座標範囲内で一定の回転角を確保できない場合に設定します。

    保持期間

    停止位置での停止を安定させるため、目標到達から約1秒間は速度0 となるようにDUTY を制御します。
    またこの機能を常時使用することで、自重で下降してしまう駆動装置でも停止位置にて保持することが可能です。

    保持期間に応じてモータが発熱しますので、十分な検証が必要となります。

  • や・ら・わ

    ループ座標

    駆動装置の動作経路が回転型に指定した際に設定する、1回転分の座標値です。
    座標上限であるとともに、原点になります。

    ロック

    モータが物理的に干渉して目標座標に到達できないまま動作命令を継続してしまう様な現象です。
    本ICではロック検出による動作命令の中断可否、およびロック検出時点から動作命令中断までの時間を設定できます。

  • 英数字

    DUTY更新周期

    速度制御のためにDUTYを変化させる周期です。RPM指定で動かす際に設定します。

    負荷解析により、機構毎に設定します。
    駆動装置には、ギアの遊びやエンコーダの分解能などでモータの速度変化がエンコーダに伝わるまでの遅延時間があります。DUTY更新周期をこの遅延時間未満に設定すると、DUTY変化が実際の動きに反映される前に次のDUTY変化が発生するため、行き過ぎと戻り過ぎを繰返す可能性があります。逆にDUTY更新周期が大きすぎると加速/減速時間が長くなる可能性があります。

    DUTY指定

    常に一定のDUTYを持つPWMを出力する駆動方式です。モータには一定電圧が印加されます。

    例えば、印加電圧が12V、DUTY:50%と設定した場合、モータは6V印加相当の動作となります。
    駆動装置の状態によりトルク不足で回転しない場合や、回転速度にバラツキが発生します。

    DUTY調整

    加速時の立ち上がりや、負荷変動への追従を良くするためのDUTY 加算量です。
    機構状態に合わせて設定値を変更できます。

    RPM指定

    指定した目標速度に追従する様に、PWM出力のDUTYを自動調整する駆動方式です。

    目標速度は基準速度設定を元に生成されます。

    2段バッファ

    命令バッファは実行、待機の2つのバッファがあり、これを2段バッファと呼びます。
    ・実行バッファ:現在実行中の動作命令が格納されています。
    ・待機バッファ:次に実行する動作命令が格納されています。

    実行バッファ内の動作命令が完了すると、待機バッファ内の動作命令が実行バッファに自動転送され、実行されます。実行、待機バッファに命令が格納されている状態で、新たに動作命令を受け取った場合は待機バッファを上書きします。