「ずっと使いたい」には理由がある オムロンのタクタイルスイッチ

タクタイルスイッチとは

オムロンは、検出・操作・設定の用途向けにさまざまな種類のメカニカルスイッチを取り揃えています。
中でも操作スイッチの1種であるタクタイルスイッチは、人が操作をすることで、設備や機器を起動・停止したり、動作条件を設定・変更するために使用されます。

私たちの身の回りは機械であふれています。これらを操作するとき、私たちは操作した時の感触で機械の反応を無意識に感じ取っています。家電製品などに使われているスイッチを押すと、「プチッ」、「カチッ」といった感触を得ると思います。私たちは、感触できちんと操作が出来ているのかを直感的に知覚しています。逆に感触を得られないと、きちんと操作が完了したのかがわからず不安を覚えることにつながります。
また、操作感触は、製品のイメージをデザインすることもできます。例えば、軽い操作感触であれば素早い操作が出来るので、「スピード感」を与えることが出来ますし、逆に重量感のある操作感触は「高級感」を与えることが出来ます。このように、操作感触によって私たちが受ける印象も異なってきます。タクタイルとは、「触って感じられる反応」を表した言葉で、操作スイッチをデザインする上で大切なファクターの1つとされています。

オムロンのタクタイルスイッチ

(検出用スイッチ)物体の位置の検出に利用:小型検出スイッチ,マイクロスイッチ,リミットスイッチ (操作用スイッチ)人の操作による機器への入力に利用:タクタイルスイッチ,ロッカースイッチ,トグルスイッチ,押ボタンスイッチ(設定用スイッチ)機器の機能の切り替えに利用:ディップスイッチ,サムロータリスイッチ

オムロンのタクタイルスイッチは、外形サイズ・使用環境・操作感触・プリント基板への実装方法など、お客様のニーズに合う幅広いバリエーションを有しています。そのため、家電や事務機器をはじめとした業務民生機器から産業設備機器まで、広範囲の市場や業界で愛用されています。これらの分野において、オムロンのタクタイルスイッチが高く評価されている特長が5つ存在します。

「ずっと使いたい」のは…1.クリック精度が高いから

【例:オペレーションパネル】盤面に並ぶタクタイルスイッチ

タクタイルスイッチは、機器の盤面に並べて使用されます。
盤面に並ぶさまざまなスイッチの操作感触(荷重)のバラツキは、正しくボタンが作動したのかを感触で判断することを難しくさせ、結果、作業効率の低下を招きます。また、同じ動作にかかるスイッチの操作感触のバラツキは、必要以上の負荷を作業者に強いることになり、「疲れやすさ」の助長や「作業の快適さ」を損なう原因にもなります。

盤面に並んだスイッチを操作するときに思うこと

(スイッチ動作に必要な力)大きな力が必要なスイッチに合わせてすべてのスイッチを押してしまいがちになり、作業者に負荷がかかる、必要な力が違うため、正常に動作しているのかが感覚でわかりにくい

操作感触は、主に2つの要素、スイッチを押した時の荷重とストロークで決まります。スイッチは複数の部品で構成されているため、各部品の寸法公差の影響で、どうしても製品間で荷重とストロークにわずかなバラツキが生じてしまいます。オムロンのタクタイルスイッチは、同等の性能を有したタクタイルスイッチに比べ、バラツキが小さいです。そのため、同一基板上にスイッチをたくさん並べるような機器でも、スイッチの感触が均一で、操作性を損なうことなく快適にご使用いただけます。

荷重 vs ストローク特性

<同等の性能を有したタクタイルスイッチ>
※12mm、SMDタイプの場合

荷重とストロークのバラツキが大きい

<オムロンのタクタイルスイッチ>
※形B3FS、12mm、SMDタイプの場合

荷重とストロークのバラツキが小さい

POINT 操作感触のバラツキを極小化するためのオムロンのこだわり

部品加工から製品の検査にいたるまで、一貫生産体制を導入しています。
さらに、部品工程の操作感触を決めるバネ部品工程に特性検査機を導入し、部品生産後に部品単体での荷重を測定しています。オムロンが規定する中心値から”0.01mm”の変化が発生した際に、金型の調整機構が自動でフィードバック制御を行い、中心値に修正する工程も入っており、操作感触の均一化のキーポイントとなっています。

「ずっと使いたい」のは…2.長く使えるスイッチだから

機器の一面に並べて、情報入力操作などに使用されるタクタイルスイッチですが、スイッチを押される頻度も高いため、たくさんのスイッチのメンテナンスを行うことは、手間も工数もコストもかかります。「壊れにくい」、「長く使える」がタクタイルスイッチの用途では不可欠になります。
スイッチの耐久性を高めるには、接点を開閉するメカニカルな機構やスイッチ全体の構造のノウハウに加え、それらを構成する部品の材料選定に関する知見、形状設計を行う高い技術レベルなど、さまざまな要素が求められます。オムロンは長年スイッチ事業で培った経験から、すべての要素に精通しています。オムロンの高い耐久性を備えたタクタイルスイッチでお客様のメンテナンスを最小限にするためのサポートをおこないます。

POINT 長寿命を実現するためのオムロンのこだわり

形B3SE 分解図

①ステンレス製反転ばねによる高耐久の実現

反転ばね(可動接点)は、金属製の円板状の部品です。力を加えると反転し、可動接点と固定接点が接触することで、オン状態になります。
オムロンの一般的なばね材質には、高いばね性、強度、耐摩耗性に優れたリン青銅が使用されています。しかし、形B3SE、形B3FS-4では、反転ばねにステンレスを採用しています。ステンレスはリン青銅に比べ、高い強度と硬度を有しています。
接点の摩耗を軽減できるため、機械的耐久性に優れ、メンテナンス工数の削減に貢献します。

②ステンレス製反転ばねによる高耐熱の実現

一般的に金属は低温になると硬くなり、高温になると柔らかくなります。そのためリフロー半田時の温度下では、リン青銅はばねの寸法が変化し、「へたり」が生じるため、荷重が弱くなります。タクタイルスイッチの価値の1つである「感触」がわかりにくくなってしまうのです。しかし、高い強度を有したステンレス材質の反転ばねであれば、「へたり」にくく荷重が弱くなることがないため、タクタイルスイッチの感触を損なうことはありません。リフロー後においても操作感触を維持したまま、安心して長期でご使用いただけます。

対象機種:B3SE、B3FS-4、B3SL、B3U、B3SN

「ずっと使いたい」のは…3.どこでも安心して使える密閉力があるから

さまざまな機器に使用されているタクタイルスイッチは、さまざまな環境下で使用されるため、シール性能が求められることもあります。密閉性が高いほど、劣悪な環境下でも故障することなく長期でご使用いただくことが出来ます。機器の盤面にたくさん並べて使用されることの多いタクタイルであれば、シール性能が高いほど、メンテナンス頻度の低減に大きく貢献することが可能です。

POINT 上下ダブルの密閉構造で高密閉性能を実現するためのオムロンのこだわり
(IP67相当のシール性能を確保)

(形B3W-1 分解図)上から密閉:構造と部品設計の工夫 オムロンのシール型タクタイルスイッチは、ベースとスペーサでシールゴムを押さえ込む構造を取っています。スペーサで確実にゴムを押さえつけるため、安定したシール性能を確保することが可能です。下から密閉:独自*の部品加工技術 リードフレームの材料と加工法に工夫を凝らすことで、樹脂と金属の密着性を高くし、より高い密閉性を実現しています。*2023年2月当社調べ

「ずっと使いたい」のは…4.はっきりとした操作感触で快適な作業ができるから

使用される機器や用途に応じて、スイッチに求められる「心地よさ」、「疲れにくさ」、「確かに操作したと感じられる操作感触」のニーズは多岐に渡ります。オムロンは、荷重とストロークに加え、いくつかのパラメータを最適なバランスで設計に組み込んでいます。また、機器や用途に適した快適な操作感触を、量産でも製品に反映できる設計力と製造プロセスを構築しています。

手袋越しでも快適な操作感触

作業環境によっては、作業者が手袋をしたまま操作を行わなければならないケースもあります。手袋での操作は、素手での操作よりも手先の感覚が鈍くなるため、余計にはっきりとした操作感触が求められます。オムロンは、操作したことが確実にフィードバックされる荷重とストロークパターンを定義してタクタイルスイッチに反映しています。明確な操作感触と操作音により、手袋越しでも安心、安定した動作を提供します。

POINT 快適な操作感触を実現するためのオムロンのこだわり

ステンレス製反転ばねによるシャープな操作感触の実現

反転ばね(可動接点)は、金属製の円板状の部品です。力を加えると反転し、可動接点と固定接点が接触することで、オン状態になります。
オムロンの一般的なばね材質には、高いばね性、強度、耐摩耗性に優れたリン青銅が使用されています。しかし、オムロンでは一部の機種において、反転ばねにステンレスを採用しています。ステンレスはリン青銅に比べ、高い強度と硬度を有しているため、よりシャープな操作感触を実現します。素手ではなく手袋越しの間接的な操作でも、はっきりとした操作感触を伝えます。

Let’s 比べてみよう!リン青銅の反転ばね vs ステンレスの反転ばね
比較対象 リン青銅の反転ばね ステンレスの反転ばね
製品名

形B3F-4

形B3FS-4

クリック音
B3F-4に比べ、B3FS-4はよりシャープな金属音を発します。微妙に異なる音の違いをお楽しみください。
操作感触

①最大荷重からの落ち込み荷重:大きいほど操作感触が大きい。
②最大荷重から反転バネが反転するまでの距離:小さいほどシャープな(歯切れがよい)操作感触。

ステンレス製ばねの方が、明確で歯切れのよい操作感触があることが、試験でも証明されています。

「ずっと使いたい」のは…5.いろいろな種類があって選びやすいから

オムロンのタクタイルスイッチは全17シリーズ、約320種類*ものバリエーション展開で、お客様の機器に合った商品を選定いただけます。そのため、他社ではあまり取扱いがないようなレアな仕様の製品なども充実しております。欲しいタクタイルスイッチがないなどで複数のメーカのタクタイルスイッチを盤面上に搭載するなど、お客様の機器のデザイン性が損なわれることもありません。

*2022年12月時点

形B3SE プランジャタイプ

外形サイズ:6.2x7.2mm

機器の小型化・薄型化はどの業界でも加速度的に進んでいます。エレベータの市場では、メンテナンスの容易さから従来の埋め込み型の操作盤から壁掛けが出来るパネル型の操作盤にシフトしています。私たちの身近では、家電製品や美容機器なども「小さくて長持ち」が当たり前になってきています。オムロンの形B3SEは、IP67相当の防水防塵性能と機械的耐久性100万回の長寿命に加えて、業界トップクラス*の薄型構造を実現しました。厚さはわずか2mmの超薄型タイプです。あらゆるシーンで、小型で高性能なオムロンの形B3SEはいかがでしょうか。

オムロン製タクタイルスイッチ厚さ比較

形B3SN 金メッキタイプ

タクタイルスイッチは搭載される機器に応じて、色々な環境下で使われます。例えば、硫黄を含んだ温泉地や、さまざまなガスが発生するような製造現場などで使用される場合、銀メッキタイプのタクタイルスイッチだと機器の腐食の原因になってしまうことがあります。金メッキを施したタクタイルスイッチであれば、腐食による接触不良を軽減することが可能なため、長くご使用いただくことが可能です。

形B3FS-4 外形サイズ12mmタイプ

家電などでは、小さくて並べやすい6mmサイズのタクタイルスイッチが主流となっていますが、制御機器などの大きな機械では、大きくて押しやすい12mmサイズのタクタイルスイッチが求められています。オムロンは日本メーカでは珍しい12mmサイズの表面実装タイプのタクタイルスイッチをラインアップとして有しています。

小口リール対応

小型で安価なタクタイルスイッチは、最小発注単位が3000個リールの製品が一般的です。しかしオムロンは、お客様の手に届きやすい数量、最小100個リールでの取り扱い対応を行っています。スイッチも購入して放置してしまうと当然のことながら劣化していきます。オムロンのタクタイルスイッチは使いきれる数量での購入が可能なため、廃棄量・廃棄コストの削減、調達コストの無駄を低減します。また、在庫スペースを長期間専有することもありません。リール品のため、実装機にそのままセットでき、すぐにご使用いただけます。

タクタイルスイッチ vs メンブレンスイッチ

タクタイルスイッチと同じような用途に使用されるスイッチにメンブレンスイッチがあります。メンブレンスイッチは、PETフィルムを何層にも重ねた薄型スイッチで、伝導回路パターンをシルクスクリーン印刷で形成したスイッチです。同用途に使用されるメンブレンスイッチと比較して、タクタイルスイッチは生産現場での使用に非常に適しています。明確な操作感触と操作音で、手袋をしたままでも正常な操作が出来ているかを作業者側にはっきりと伝えます。また、メンブレンスイッチは接点が導通ペーストのため、接点摩耗やゴム劣化により機械的寿命が短いのに対して、タクタイルスイッチは操作による接点摩耗や機構劣化が少ないため、高耐久を実現します。タクタイルスイッチをご使用いただくことで、お客様の作業効率向上とメンテナンス工数の低減に貢献します。

名称 タクタイルスイッチ メンブレンスイッチ
構造
感触

はっきりとした操作感触

大きな荷重をかけないと押し込めないため、誤入力が防止できる。荷重とストロークの変化が急激で、しっかりとしたクリック感

ソフトな操作感触

荷重とストロークの変化が緩やかなため、
ソフトな感触

操作音 「カチカチ」といったシャープなばねの反転音 「ペコペコ」といったゴムの反転音
耐久性 メンブレンスイッチに比べて高耐久 接点摩耗・ゴム劣化により低耐久
交換性 壊れたスイッチだけ個別交換が可能 ボタンがシート状につながっている。
壊れたスイッチだけの単体交換ができず、
シート丸ごと交換が必要