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ユニバーサルデザインものづくり(ゆにもの)

精神/知的障がいのある人の新規求職申込件数も法定雇用率も増加、上昇傾向にあり、そのニーズには、当社もお応えしなければならないと考えています。しかし、当社の歴史の中では、主に身体障がいのある人が働きやすい現場改善を行い、「バリアフリー」の環境で生産活動を続けてきましたが、より多様な知的/精神障がいのある人が働ける職場をつくるためには、これまでの観点以外で、障がい特性の理解を深めながら、既存の社員を含む、働くことを希望する人が最大限の能力を発揮できる職務を準備することが課題と捉え、「ゆにもの」を開始しました。

◆当社のユニバーサルデザインコンセプト

「働くことを希望する障がいのある人、ない人がその機能を最大限に発揮できる職場」であること

◆定義

対象業務について、5つ以上の機能別カテゴリにて就労することができる環境や体制であること

(機能別カテゴリ)脳機能の障がい:判断、計数、対人、読解/身体機能の障がい:下肢、重度下肢、上肢、重度上肢、視覚、内部、視覚、重度視覚

◆ユニバーサルデザインものづくり

ダイバーシティ&インクルージョン、ユニバーサルデザインの状態であること

障がい区分の考え方を変える

(Before:一般的な障がい名で分けていた)知的/精神/発達障がい:①知的障がい②精神障がい③発達障がい/身体障がい:④下肢機能障がい⑤上肢機能障がい⑥聴覚障がい⑦内部障がい⑧視覚障がい⑨高齢者

当初は9つの障がいと高齢者で分類しましたが、
実際には、知的/精神障がいの特性に発達障がいが共通してあること、
しかし発達障がいは単独で分類したことで、考え方が複雑になり、取り組みに混乱が生じたことから、区分の細分化と定義の明確化が必要となりました。

(After:ハンデとなる動作/機能で分ける)脳機能の障がい:①判断②計数③対人④読解/身体機能の障がい⑤下肢⑥重度下肢⑦上肢⑧重度上肢⑨視覚⑩内部⑪視覚⑫重度視覚

知的/精神障がいは、「脳機能の障がい」と置き換え、身体障がいを「身体機能の障がい」として2つの機能の障がいカテゴリとして分類しました。
さらに知的/精神/発達障がいについては、判断・計数・対人・読解という、作業に必要な能力で分類しました。
そうすることで障がいの有無に関わらず、機能分析することも可能となりました。
また、下肢・上肢・視覚についてはそれぞれ「重度」を追加、高齢者は既存の雇用形態では存在していないことから、全12の小カテゴリに整理しました。

機能別分析表

各カテゴリの特性により、対応する工程の基準と対策イメージを決定。
各作業工程が各カテゴリに対応しているか、○×で評価。×については対策を実施、〇になるようにゆにもの化を進めていきます。

機能別分析表の作成

ゆにもの:対象業務について、5つ以上の機能別カテゴリにて就労することができる環境や体制であること

◆ 各カテゴリの特性により、対応するラインの基準と対策イメージを決定
◆ 各作業工程が各カテゴリに対応しているかを〇×で評価
◆ ×については、対策を実施、ゆにもの化を図る

対策の実施:手順書の動画化「読解の工夫」

・「文章の理解が難しい」特性をカバーするために、要領書を動画化/音声化。・文字と音声の有無が選択可能、障がいの有無に関わらず誰にでもわかりやすい。

生産現場で使用される仕事内容や、ポイントが記載された作業要領書の「読解」が難しいために、ゆにものに対応していないと判定された場合、職場リーダーをはじめとする職場の方々が手順を見直し、理解できていない箇所を洗い出ししました。そして、要領書を動画で制作、音声や字幕を付けてわかりやすくしました。
最終的には、文字と音声の有無が選択できることで、障がいの有無に関わらず誰にでもわかりやすいものになりました。この動画は多様な人が見ることを想定して、「伝わる・伝える」の確認のために、聴覚障がいのある人も含めた多くの目線にて確認を行っています。

対策の実施:心身状態の見える化「対人」の改善

ニコニコボード
コミュニケーションに困りがある人が、自身の体調不良を伝えられず、体調を崩して早退する、突発の休みをする、業務に支障をきたすことをフォローするための改善としてスタートしました。
毎朝、自身の体調を表すマークをニコニコボードに貼り、体調がすぐれない日が続くと、リーダーが計画的な休暇取得を促すなど、積極的なコミュニケーションを図ることが習慣化されました。
また、ニコニコボードの記録を残してデータベース化したところ、個人ごとの傾向が把握しやすくなり、体調が悪くなる前に声掛けできることも増加し、突発のお休みが減り、出勤率の向上にも繋がりました。
この取り組みを行ったある製品ラインの実績として、突発のお休みは前年度比10.5日、約23%の低減ができています。

(今日の気持ち)76~100%:好調、50~75%:普通、0~49%:不調。障がいの有無に関わらず、メンバー全員の気持ち(心身状態)が見える化されて、お互いに理解/共有ができ、コミニュケーションの強化ができた。

取り組みの結果

今まで:身体障がいのある人が働きやすい環境づくり(設備、治工具)+今から:脳機能に障がいがある人も働きやすい環境づくり(設備、治工具、仕組み、精神面、判断、多様性)

「ゆにもの」は2017年度に当社の製造部門の1製品ラインから始まり、それをお手本に現在は全ての製品ラインにて展開されました。
その結果、当社の製造部門では、障がいの有無に関わらず働ける環境の整備が進んでいます。
さらには、少なからず知的/精神障がいのある人の雇用ニーズに応えられる職場環境になっているとも言えます。
この結果を導くためには、「ゆにもの」に取り組むことと同時に、日々の業務も当たり前に熟さなければならず、大変な苦労があったはずです。
しかし、その取り組みによって、出勤率やコミュニケーションの向上というプラスαの成果をも生み出したことは、「ゆにもの」に関わった全ての社員の努力の賜物であるとも言えます。

特に、作業要領書の動画化は、2021年度の「もにす認定」※1された際の優れている項目として評価されました。

※1:障がい者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度。
障害者の雇用の促進及び雇用の安定に関する取組の実施状況などが優良な中小事業主を厚生労働大臣が認定する制度。
(厚生労働省HPより抜粋)

今後について

⇒働くことを希望する人がその能力を最大限に発揮できる職場づくりを続けていく

(2017年度)製造部門:モデル製品ライン構築【Seedー浸透ー】◆基盤構築モデルライン1SWライン◆定義の策カテゴリ:9から12(2018年度)製造部門:SWラインへの展開【 Sproutー芽が出るー】◆定義を全社展開、機能別分析表ブラッシュアップ◆社内改善活動で取り組み◆全SWラインへ展開(5ライン)(2019年度)製造部門:製造受託製品ライン【Grow upー成長するー】◆機能別分析表ブラッシュアップ◆製造受託製品ラインへ展開◆展開の加速・・・間接部門へ(2020年度~)製造部門+間接部門(事務系)【Standardー標準ー】◆改善のブラッシュアップ◆標準化◆間接部門への展開

当社の「ゆにもの」の取組みは、製造部門から間接部門(事務系)にも展開が進み、
働くことを希望する人が、その能力を最大限に発揮できる職場づくりが続いています。

★工場を直接ご覧いただくことも可能です。ぜひ、お問い合わせください。