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リレーの基礎知識:用語解説

解説一覧

インサートロス(挿入損失)

(プリント基板用高周波リレーのみ記載)
閉路状態にある接点端子間における高周波信号の減衰量のことです。


開閉ひん度

単位時間あたりのリレー操作回数です。


開閉容量の最大値

開閉できる負荷容量の最大値です。使用時には、この値を超えないように回路設計をしてください。
ACの場合はVAで、DCの場合はWで表示されます。


機械的耐久性

接点に負荷を加えないで、規定の開閉ひん度で開閉動作させたときの耐久性のことです。


クロストーク特性

(プリント基板用高周波リレーのみ記載)
接点回路の相互間における高周波信号の漏れの程度のことです。


検査特性曲線(OC曲線)

(OC曲線:Operating Characteristic Curve)
リレーの各ロットの信頼度を判定する場合に次のことを理解しておく必要があります。 全数検査の場合、故障率λは推定の範囲を考える必要がないため、下図で折れ線ABCDEとなります。 しかし、信頼度をみるために全数試験をしてしまったら肝心の実装置に使うリレーがなくなってしまいます。 従って実際は何個かを抜き取って全体の信頼度を推定することが必要になります。その場合の合否の分れ目を示す曲線はACE曲線となります。

判定基準となる故障率λ1 の所(C点)が消費者側からみて60%となっているのは信頼水準の60%を表わしています。領域ABCの縦軸はたとえ故障率がλ1 より小さくても不合格にしてしまうおそれのある場合を示しており「生産者危険」と呼ばれます。

また、領域CDEの縦軸はたとえ故障がλ1 より大きくても合格にしてしまうおそれのある場合を示しており「消費者危険」と呼ばれます。これらは全数検査ができないことによる信頼性評価の宿命でもありますので、λ60 の意味など十分理解した上で信頼性を把握する必要があります。

信頼性試験の多くは故障率が非常に小さく、また破壊試験となることが多く、一方、試験に長期の時間を要することから、危険率α、βおよびコストのバランスを考慮して、信頼水準60%が多くとられています。なお、リレーのカタログには、参考値としての記載を行っています。これが重要なシステムで使われる部品で、故障率を保障するような場合、抜取条件、合格判定条件をかえて、信頼水準をあげる必要があります。

リレーの出荷においては、初期でチェックができ、かつ破壊や劣化を伴わない試験、たとえば、動作電圧、復帰電圧、接触抵抗、耐電圧などの試験項目は、全数チェックを行い出荷をしています。この場合、合格か不合格のいずれかであり、α、βともゼロに近い値となります。

抜取検査については、JIS Z9001「抜取検査通則」などの資料を参考にしてください。
また、リレーの故障率試験についてはJISC5003を参考にしてください。

検査特性曲線(OC曲線)

コイルインダクタンス

(一般リレーのみ記載)
直流リレーにおいては矩形波を加えて時定数より求めた値です。また、交流リレーにおいては定格周波数における値です。それぞれ、動作状態、復帰状態で値が異なります。


コイル記号

コイルの駆動形態に対して以下のように表示しています。

Relay Coil Symbols

コイル抵抗

コイル抵抗とは、コイルの温度が+23°Cのときのコイル端子間の抵抗。


高周波アイソレーション

(プリント基板用高周波リレーのみ記載)
開路状態にある接点端子間および接続されていない端子間における高周波信号の漏れの程度のことです。


高周波開閉電力の最大値

(プリント基板用高周波リレーのみ記載)
接点において開閉が可能な高周波信号の電力の最大値のことです。
定格負荷に比べ電気的耐久性が短くなります。


高周波通過電力の最大値

(プリント基板用高周波リレーのみ記載)
閉路状態にある接点端子間を通過可能な高周波信号の電力の最大値のことです。


高周波特性の測定方法例

測定に関係しない接点は50Ωにて終端する。

高周波特性の測定方法例

故障確率密度関数
高周波特性の測定方法例

故障確率密度関数・・・・f(t)
∫∞0f(t)dt=1
(時刻tにおいて故障する数の全体数に対する割合を意味する)


故障率

個別に規定する試験の種類および負荷でリレーを連続開閉した時の単位時間(動作回数)内に故障をおこす割合です。
この値は、開閉ひん度、雰囲気、期待する信頼性水準によって変化することがあります。
実使用上は、実使用条件にて実機確認を必ず実施してください。

本カタログでは、この故障率をP水準(参考値)として記載しています。
これは、信頼水準60%(λ 60)での故障水準レベルを表しています。(JIS C5003)

故障率

最小パルス幅

ラッチング形リレーにおいてセットおよびリセットさせるためのコイルへの定格印加電圧の最小パルス幅をいいます。
ただし、周囲温度+23°Cにおける値であり、保証値ではありません。


指数分布

偶発故障期間の無故障動作回数は指数分布に従っています。
この分布はガンマ分布やワイブル分布の特別な場合であって、信頼性の寿命分布のもっとも基礎的な分布です。

ガンマ分布はランダムなショックが何回か(k回)起ってはじめて故障する場合のモデルとなりますので、k=1即ち1回のショックが故障と直結する場合のガンマ分布は結局指数分布に等しいことになります。
またワイブル分布で形状パラメータmが1に等しい時は指数分布であることはワイブル分布の図からもわかります。

指数分布の各種関数は次の通りです。

  1. 信頼度関数 R(t)=exp〔-λt〕
  2. 故障確率密度関数 f(t)=d〔1-R(t)〕/dt=λexp〔-λt〕
  3. 瞬間故障率 λ(t)=f(t)/R(t)=λ(一定)

指数分布と他の分布の関係

ガンマ分布
f(t)=λ(λt)k-1/(k-1)! e-λt
k=1 指数分布
f(t)=λe-λt
ワイブル分布
f(t)=mtm?1/to e?tm/to
m=1
1/to=λ

摩耗故障期間においては、故障はある時期に1度に発生するのではありません。したがって、故障は故障確率密度関数の分布をもって発生すると考えられます。
先のワイブル分布ではm>1の場合であらわすことができますがばらつきと考えるならば、正規分布として考えることもできます。

正規分布の各種関数は次の通りです。

  1. 信頼度関数 R(t)=1/σ√2π∫∞te-(t-μ1)2/2σ2 dt
  2. 故障確率密度関数 f(t)=1/σ√2πe-(t-μ0)/2σ2
  3. 瞬時故障率 λ=f(t)/R(t)

寿命を残存個数何%にとるか、平均寿命で取るか理解しておく必要があります。
リレーでは普通95%残存個数と考えますが、メーカや機種によって平均寿命で表す場合があり注意が必要です。

* 関連用語:ワイブル分布故障確率密度関数
瞬間故障率
瞬間故障率

瞬間故障率・・・・λ(t)
λ(t)=f(t)/R(t)=d{InR(t)}/dt
時刻tにおいて故障する数の残存数に対する割合を意味する)


衝撃

運搬時、取りつけ時に発生する比較的大きな衝撃による特性変化や破損について規制された耐久衝撃と、使用状態での衝撃による誤動作を規制する誤動作衝撃とに分けられます。


シングル・ステイブル形(基本形)

コイルの無励磁、励磁に応じて接点がオン・オフし、それ以外は動作要素上特別な機能を持たないリレー

シングル・ステイブル形(基本形
G6B / MY

振動

運搬時、取りつけ時に発生する比較的大きな振動による特性変化や破損について規制された耐久振動と、使用状態での振動による誤動作を規制する誤動作振動とに分けられます。

α=0.002f2A×9.8
α 振動加速度 (m/s2)
f 振動数 (Hz)
A 複振幅 (mm)

信頼度関数
信頼度関数

信頼度関数 ・・・・R(t)
R(t)=∫∞tf(t)dt=1-F(t)
(時刻tにおいて残存している数の全体数に対する割合を意味する)


ステッピング・リレー (ステッピング形)
形G9B

(一般リレーのみ記載)
入力1パルスごとに、複数の接点が順次オン、オフとシフトしていくリレーです。


絶縁抵抗

接点、コイル間や導電部端子と(鉄芯粋、鉄芯のような)非充電金属部間、あるいは接点相互間の絶縁された部分の抵抗のことです。
この値はリレー単体における値で、基板のランドなどは含みません。

  1. コイル-接点間:コイル端子と接点全端子間
  2. 異極接点間:異極接点端子相互間
  3. 同極接点間:同極接点端子相互間
  4. セットコイル・リセットコイル間:セットコイル端子とリセットコイル端子間

接触抵抗

接触抵抗とは、可動片・端子・接点などの回路を構成する導体固有抵抗と接点同士が接触する境界抵抗および集中抵抗の合成した値をいいます。

本カタログに記載の接触抵抗値は、初期規格値であり、この値の大小は実使用における良否を表すものではありません。
接触抵抗の測定条件は、下図に示す電圧降下法(四端子法)にて下記表に規定する測定電流を通電します。

試験電流 (JIS C5442)

定格接点電流または開閉電流 (A) 試験電流 (mA)
0.01 未満 1
0.01 以上 0.1 未満 10
0.1 以上 1 未満 100
1 以上 1,000

接点記号

それぞれの接触機構にたいして以下のように表示しています。

接点記号

接点極数

接点極数とは、接点回路数をいいます。


接点構成

接点構成とは、接触機構をいいます。
例えば、b接点(ブレイク接点)、a接点(メーク接点)、c接点(トランスファ接点)などがあります。


接点電圧の最大値

開閉できる接点電圧の最大値です。
使用時にはこの値を絶対に越えないでください。


接点電流の最大値

開閉できる接点電流の最大値です。
使用時にはこの値を絶対に越えないでください。


セット時間

セットコイルに定格電圧を印加した時点から接点が動作するまでの時間。
複数個の接点を持つリレーの場合には、他の規定がなければ一番遅い接点が動作するまでの時間になります。

なお、コイル温度が+23°Cのときの値で、バウンス時間は含まれていません。

セット時間

耐衝撃電圧

落雷など誘導性負荷開閉時に発生する瞬間的異常電圧に対する耐久性を示す限界値のことです。
サージ波形は、特に記載のない限りJIS C5442による1.2×50μsの標準衝撃電圧波形で表します。

セット時間

耐電圧

絶縁された金属部間(特に充電金属)に電圧を1分間加えたとき、絶縁破壊の起こらない限界値。
電圧印加箇所は、絶縁抵抗と同一です。

リーク電流(絶縁破壊を検出するための電流)は通常1mAです。
ただし、リーク電流を3mA、10mAとすることもあります。


定格消費電力

コイルに定格電圧を加えたとき、コイルで消費される電力(定格電圧×定格電流)。
交流仕様の定格消費電力は、周波数60Hzにおける値です。


定格通電電流

接点を開閉することなしに温度上昇限度を超えることなく連続して接点に通電できる電流値(JIS C4530による)。


定格電圧

リレーを通常状態で使用する場合、操作コイルに加える基準となる電圧。(JIS C4530による)


定格電流

リレーを通常使用するためにコイルに流れる基準となる電流(JIS C4530)。
コイルの温度が+23°Cのときの値です。また、各機種の本文中に指定がない限り定格電流の公差は、+15%、-20%です。


定格負荷

開閉部(接点)の性能を定める基準となる値で、接点電圧と接点電流の組み合わせで表現します。


電気的耐久性

接点に定格負荷を加え規定の開閉ひん度で開閉させたときの耐久性のことです。


動作時間

コイルに定格電圧を印加した時点から接点が動作するまでの時間。
複数個の接点を持つリレーの場合には、他の規定がなければ一番遅い接点が動作するまでの時間になります(JIS C5442)。

コイル温度が+23°Cのときの値で、バウンス時間は含まれていません。

動作時間

動作電圧

リレーが動作するための最小の電圧です。(JIS C5442)
コイルの温度が+23°Cのときの値です。


動作バウンス時間

コイル温度が+23°Cのときにコイル定格電圧を印加したときのa接点のバウンス時間をいいます。


ねじ(金属)取りつけリレー開放系

異物の接触および侵入に対して保護されていない構造


ねじ(金属)取りつけリレー閉鎖形(ケース入り形)

リレーをケースに入れ異物の接触に対して保護した構造


熱起電力

異種の金属を両端で接続し、接合部の温度を異なる温度に保つと、回路に一定方向の電流が流れます。
この電流を生じさせる起電力を熱起電力といいます。
リレーの場合、端子、接触片、接点の異種金属に熱起電力を生じます。

熱電対をリレーで切り替える場合、この熱起電力により実際の温度と測定温度が異なる原因となります。


バウンス

リレーの可動部分(接極子)が鉄芯や接点相互の衝突によって生じる衝突振動などに起因する接点間の間欠的開閉現象。(JIS C5442)


復帰時間

コイルから定格電圧を取り除いた時点から接点が復帰するまでの時間。
複数個の接点を持つリレーの場合には、他の規定がなければ一番遅い接点が復帰するまでの時間になります(JIS C 5442)。

a接点のみの場合は一番遅いa接点が開路するまでの時間です。

コイル温度が+23°Cのときの値で、バウンス時間は含まれていません。

*関連用語:バウンス


復帰電圧

電圧を急激に降下または徐々に減少させたとき、全接点が復帰する最大の電圧です。(JIS C5442)
コイルの温度が+23°Cのときの値です。

(例) 形MY4 DCタイプの場合
動作電圧、復帰電圧の分布は下記のグラフのようになっています。
グラフにあるように動作時は定格電圧の80%以下で動作し、復帰時は、10%以上で復帰するようにしています。
したがって、カタログの表現も、動作電圧を80%以下、復帰電圧を10%以上と表記しています。

復帰電圧

復帰バウンス時間

コイル温度が+23°Cのときにコイル定格電圧を取り除いたときのb接点のバウンス時間をいいます。


浮遊容量

各端子間に存在する静電容量のことです。

例)浮遊容量
a-c接点間 約1pF
c-c接点間 約1pF
c接点-コイル間 約2pF

プラグインリレーハーメチックシール形

リレー内部に腐食性ガスが侵入せず、外被も有害な腐食に耐えるように金属、ガラスのケース、カバーなどでシールされ不活性ガス(N2)を封入した密封構造
したがって、カタログの表現も、動作電圧を80%以下、復帰電圧を10%以上と表記しています。


プラグインリレー閉鎖形(ケース入り形)

リレーをケースに入れ異物の接触に対して保護した構造


プラグインリレープラスチックシール形

腐食性雰囲気の影響を受けにくいように樹脂のケース、カバーなどでシールされた構造


プリント基板用リレープラスチックシール形

はんだ付け時のフラックスや洗浄時の洗浄液の侵入を防止した構造


プリント基板用リレー耐フラックス形

はんだ付け時に、フラックスがリレー内部に侵入しにくい構造


ホットスタート

接点通電状態で、コイルに連続通電後、一旦コイルへの通電をオフにし、ただちに再度オンした状態またはそのときの動作電圧値をいいます。(コイル電圧、接点電流、周囲温度は、条件設定した値とする)


ラチェット・リレー (ラチェット形)

(一般リレーのみ記載)
ステッピング形の一つで、パルス入力により接点が交互にON、OFFが切り替わる、または順次動作するリレーです。


ラッチング形
G6BU / G6BK

G6BU / G6BK

セットまたはリセットを行うパルス駆動電圧でもセット状態またはリセット状態を駆動電圧(パルス駆動電圧含む)が断たれた後も反転への入力があるまでその状態を保持できる機能を持ったリレー。

*備考

セット、リセット状態を保持する機構として以下の2種類があります。

  1. 磁気保持形
  2. 機械的保持形

またセット、リセットのパルス電圧を印加するコイルの種類として以下の2種類があります。

  1. 1巻線形
  2. 2巻線形

リセット時間

(ラッチング形に限る)
リセットコイルに定格電圧を印加したときから接点が復帰するまでの時間(b接点が閉じるまでの時間)。
a接点のみの場合は一番遅いa接点が開路するまでの時間です。
複数個の接点を持つリレーの場合には、他の規定がなければ一番遅い接点が復帰するまでの時間になります。

コイル温度が+23°Cのときの値で、バウンス時間は含まれていません。

*関連用語: バウンス


リターンロス(反射損失)

(プリント基板用高周波リレーのみ記載)
伝送路上に発生する高周波信号の反射量のことです。


累積故障分布関数

累積故障分布関数・・・・F(t)
F(t)=∫t0f(t)dt
(時刻0からtまでに故障した数の全体数に対する割合を意味する)

累積故障分布関数

ワイブル分布

ワイブル分布は、スェーデンのW.Weibullが鋼球の寿命にはじめて適用した分布です。
一部の最弱箇所の破壊が全体的機能の破壊に結びつく場合をうまく説明できるといわれています。
概念的には指数分布の拡張と考えることができます。
また、実用上からみても「ワイブル確率紙」を使って簡便にデータ解析ができる点などが大きな特長といえます。

m<1 の場合初期故障期間、m=1の場合、偶発故障期間、m>1の場合摩耗故障期間の分布に似てきます。
ここで、ワイブル分布を以下の関数と図で表わすことができます。

(1)ワイブル分布関数

F(t)=1-exp〔-(t-γ)m/to〕

ワイブル分布関数

(2)故障確率密度関数

f(t)=m(t-γ)m-1/to exp〔-(t-γ)m/to〕

故障確率密度関数

(3)瞬間故障率

計算式
瞬間故障率間故障率

*mの違いによるF(t)のグラフ
*m: 形状パラメータ / to: 尺度パラメータ / γ: 位置パラメータ

(1)~(3)の図とBath-tub曲線を比べてみると、m<1が①にm=1が②に、m>1が③に相当するのがよく理解できます。
ワイブル確率紙は、このワイブル分布関数をもとに作られています。このワイブル確率紙を用いて故障の解析ができます。
ワイブル確率紙は、縦軸にF(t)、横軸にtをとってあります。これを用い、試験結果をプロットして解析を行います。その中で、リレーでは、プロットから導かれる直線の勾配が大きく、かつ右側に寄っているほどよい特性と言えます。
このことは、リレーが集中的に寿命に達すること、および長寿命であることを意味しています。
このような特性は、リレーを設計、および生産するものとしてたえず追求していることです。現実は故障に関する要因が大きく集中的に寿命に達するものを作るのに努力を重ねています。
一方、リレーを使用する側からは、寿命が明確であれば、装置のメンテナンス時期や、耐用寿命の予測がしやすくなります。

詳細な解析方法は「ワイブル確率紙の使い方」日本規格協会発行などの専門書を参考にしてください。
また、ワイブル確率紙は、「日科技連」から発行されていますので、参考にしてください。

*関連用語: Bath-tub曲線


英数字

1巻線ラッチング形
1巻線ラッチング形

1つのコイルで、印加する電圧の極性に対応して、セットまたはリセット状態に切り替わり保持できるラッチング構造のリレーです。


2巻線ラッチング形
2巻線ラッチング形

セットコイルとリセットコイルを有し、セット状態またはリセット状態を保持できるラッチング構造のリレーです


Bath-tub曲線

人間の死亡率が下図のような形をしていることはよく知られています。魚などに代表されるように他の動物もみなこのような傾向があります。装置の場合は死亡率ではなく、故障率がこのBath-tub曲線と呼ばれる形になります。リレーも全く同様に以下の図のような生涯をたどります。この生涯を3つの期間に分けて考えるとその意味が一層よく理解できます。

下図の1の期間を初期故障期間と呼んでいます。この期間は動作回数の増加につれて故障率が小さくなり見かけ上悪いものが良くなるような印象を与えますが、もともと故障するような要因をもったものは早いうちに陶汰され健全なもののみが残ることを意味しています。製品がユーザに渡る前にこの段階は必ず済んでいる必要があります。この段階を別名「しらみつぶし(debug)」といいます。
リレーではメーカからの出荷の時、動作、復帰電圧、接触抵抗、耐電圧、時間特性、コイルインパルス検査など基本特性を全数検査することで初期故障率をゼロに近づけています。

下図の2の期間を偶発故障期間と呼んでいます。
この期間は動作回数に関係なく故障率がほとんど変化しないのが特徴です。製品が有効に機能を発揮するのはこの期間です。この期間の故障率をゼロにすることはメーカ、ユーザの望むところなのですが現時点ではこのことは不可能で、「できるだけゼロに近づける」努力をするしかないわけです。諸々の条件によって具体的な各機種毎に故障率のレベルが異なるため、機種の選択や使用条件の選択が実際の装置の故障率を大きく左右することがおわかりいただけると思います。

下図の3の期間を摩耗故障期間と呼んでいます。
この期間は動作回数の増加につれて故障率が大きくなり、ついには全数が消耗、破壊してしまうのが特徴です。リレーのような機械的に運動する部分を持つ機構部分で は、必ず消耗、変形、疲労などがあるため「寿命」という考えが必要になります。
一般的にリレーでは、故障と寿命を次のようにわけて考えることができます。

(1) 故障 モニタによって発見できる機能変化の状態、偶発的に生じる誤動作や、間欠的な特性劣化がこれにあたります。
(2) 寿命 消耗、変形、疲労などの蓄積によって機能をはたせなくなった状態。実績や性能確認である程度、予測できるため事前のメンテナンスが可能です。
Bath-tub曲線

Bath-tub曲線

  1. 初期故障期間 (0<t<t1)
  2. 偶発故障期間 (t1<t<t2)
  3. 摩耗故障期間 (t>t2)

*関連用語: ワイブル分布


MBB接点

MBB(メーク・ビフォワ・ブレーク)接点(ショーティングコンタクト)接点の動作順序を指定した接点組のうち、動作時に開離すべき接点が開離する前に閉成すべき接点が閉成される接点組。
CI接点あるいはコンテニュアス接点(continuous contact)と呼ぶこともある。

MBB接点

TV定格(UL/CSA)

TV定格とは、ULおよびCSA規格の中の耐突入電流性能を評価する代表的な定格の一つで、そのリレーが突入電流を含む負荷を開閉できる程度を示しています。例えば、テレビ電源用リレーはTV定格を取得しているリレーである必要があります。

開閉試験(耐久テスト)は、負荷としてタングステンランプを使用し、トータル25,000回の開閉に耐えることを要求しています。

TV定格 突入電流 定常電流 代表機種例
TV-3 51A 3A 形G2R-1A
TV-5 78A 5A 形G5RL-1A(-E)-LN
TV-8 117A 8A 形G4W-1112P-US-TV8、
形G5RL-U1A-E、形
G5RL-K1A-E
TV-10 141A 10A 形G7L
TV-15 191A 15A 形G4A

V.S.W.R.
V.S.W.R.

(プリント基板用高周波リレーのみ記載)
伝送路中に発生する電圧定在波比のことです。


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